zepeのブログ

いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

自民党、台湾にアストラゼネカ製ワクチン供与を提起。結構な話である。ただ政府関係者がまず自分達に接種する実績を作ってからにせよ。

*)模範国台湾での変異ウィルス拡大
 これまでコロナのコントロールに成功し世界の模範国とされてきた台湾で、帰国した旅客機のパイロットから変異型ウィルスが持込まれクラスターが連鎖して発生し、その結果蔡英文政権の支持率が急低下している。中国の妨害の影響もあり、ワクチンを十分に入手できていないと言う。WHO(世界保健機関)が台湾のオブザーバーとしての参加を中国の反対で拒んでいることは周知の通りである。


*)アストラゼネカ製ワクチン供与の提案
 ここに来て自民党の一部から、台湾にアストラゼネカ製ワクチンを供与せよとの提起がなされた。結構な話である。台湾は窮地にある。また日本と台湾は大災害のたびに相互に助けの手を差し伸べてきた経緯がある。
 英国アストラゼネカ製ワクチンは血栓が生じる可能性があるとされ、政府は購入したものの当面使用しないとしている。米国製薬会社ファイザー社製とモデルナ社製のワクチンは十分に確保されており、余裕はあるようだ。


*)アストラゼネカ社製ワクチン国内不使用の決定と厚労省
 なぜ日本はアストラゼネカ社製ワクチンを使いたがらないのか。
最大の理由は厚労省の意向だろう。厚労省は、厚労省の官僚は、訴訟になって裁判の被告になりたくないのである。
 過去に有機水銀による水俣病、非加熱血液製剤エイズ、アスベストによる中皮腫、注射器の使い回しによるB型肝炎、等々枚挙にいとまがない事例がある。
 血栓が生じる可能性があるとされているものを使用して実際に起きれば、野党から国民からわかっているのに打ったとして非難されるのは明らかである。そして訴訟になれば裁判官は型通りのことしかやらないから有罪になるのはわかりきっている。菅政権としても選挙に影響を及ぼすことは避けたい。だから初めから使用しないことにした。


*)バイオ医用科学の応用発展しにくい日本の土壌
 こうした厚労省の姿勢は実は日本のバイオ医用科学の発展応用にとって弊害があるのである。
 今回、日本はワクチンを自国で開発できなかった、あるいはして来なかった。患者数が少なかった、国内では治験がしにくい、製薬会社のスケールが小さいなどそれぞれ該当する理由があるが、さらに根底にあることとして自国で開発した新しい薬剤やバイオ製品の認可には厚労省は及び腰だということがある。
 これは日本の民間会社にも言えることである。米国の訴訟社会のように、もし訴訟を起こされれば販売利益などはるかに吹っ飛ぶ賠償金と社会的責任を負わされる。日本の会社はそうしたことを想定していないし慣れてもいない。また訴訟裁判や賠償に耐え得るほど会社の規模も大きくない。
 もし外国で開発されたもので既に実績があり、それを輸入して販売する場合なら、たとえ訴訟を起こされたとしても責任の大半は海外の会社に帰着させることができる。いきおい自国開発の新製品よりも海外の製品の輸入販売を優先することになる。
 このため日本は大学での研究レベルは高くても、新規のバイオ製品の開発・商品化は米欧・中国・韓国に比べ必ずしも積極的でない土壌にある。


*)ワクチン供与時の注意点
 さてこのワクチンを台湾に供与したらどうなるか。
台湾は有難く供与を受けるだろう。しかし日本国民と同じく、一部の台湾国民からは危険なワクチンだから日本は台湾に提供したのだという声も上がるだろう。そして例によって中国、韓国からも非難する声明が出されるだろう。直近のケースでは例えば福島原発廃炉のトリチウム含有汚染処理水の海洋放出決定に際してそうだったように。特に韓国は国際監視団に参加させよと声高に国際機関で主張している。


*)ワクチン接種できない政府関係者
 一方で、政府関係者は職業柄多くの人に会い国の運営に携わる以上早急にワクチン接種をして然るべき十分な理由があると思うのだが、国民からは自分達ばかりを優先していると言われるのを気にして接種できないでいる。


*)まず隗(かい)より始めよ-接種の実績を作ってから供与せよ。
 ここは政府関係者が率先してアストラゼネカ社製ワクチンを打って、そうした実績を作った上で、台湾に供与しては如何だろうか。
 英国オックスフォード大学と協力して開発したアストラゼネカ製ワクチンは、稀に血栓症が生じる危険性があるとして、デンマークは使用を取り止めたが、WHOは副反応よりもコロナに感染しないメリットのほうがはるかにまさるとして接種を勧奨し、もとより英国はこのワクチンを使用しているはずである。その結果として著しく感染率が低下し、通常生活への回帰が急速に視野に入ってきたのである。
 政府関係者あるいは国会議員に対して、推奨される適切な年齢層と体調を考慮し、医師による事前の診察を経て接種すれば、問題無いのではなかろうか。
 いずれにせよ、日本では忌避するワクチンだから提供したというように受け取られる形は取るべきではない。
 さらに言えば、日本国内でももっと積極的に使用してもよいのではなかろうか。

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