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中国が演ずるウクライナの和平仲裁(1):ポーズと裏腹の自家撞着

*)中国のサウジアラビア-イラン紛争和平仲介
 先に中国はサウジアラビアとイランの和平を仲介して調印にまで持ち込み世界を驚かした。
 スンニー派とシーア派の決して相入れぬ教義を任ずる大国同士の対立である。その教義上の相容れぬ対立からすれば、決して起こり得ぬ、何人(なんびと)も予想し得ぬ出来事であった。
 互いになにものをも生み出さぬ不毛な争いを続けるのは得策ではないと内心思っていたのであろうか。
 従来この地域に最も影響力のあった米国にとって、決して実現できない出来事、というより好ましからざる関係修復とも言うべき驚天動地の出来事であった。
 中国の国際関係における大国としての威信を高める出来事であった。


一方、ロシア-ウクライナ間の和平も仲介しようとしているかのように見えるが、どうだろうか。鮮明さを欠く。どうもその行動には印象が潔くない。


*)中国の行動の属性、特徴、発想、動機
 中国は何のために和平工作を行うのか。相争う当事者のために最善を思ってか。
中国の歴史、文化、関心、民族的属性、発想から見れば、無私の精神をもって紛争当事者の最善の利益のために和平を仲介するなどというのはあり得ないだろう。


そもそも和平を仲介するということ自体が、従来の中国文化からすれば、あまり考えられない発想である。
 中華民族は世界の中央中心であり、諸外国は朝貢を求めて来る周辺蛮夷の国々である、とするのが尊大な中華民族の伝統的文化的思考-中華思想であった。


彼らの行動の動機の根底にあるのは、中華民族の文化であり、発想であり、民族的特性である。
 中国は自ら(中国)の利害のために和平工作を行うのである。
これは別に中国に限ったことではない、と言えばその通りである。須(すべから)く国際関係において、英国ほか列強諸国は皆自らの利害を考えて行動している、と言えばもちろんそうである。


*)中東和平のメリット
 見掛け上はともかく、中国が和平工作を行う根底にあるのは、自ら(中国)の利害の観点からである。


サウジアラビアとイランについてはどうか。
 当事者同士も長年の不毛な対立からの脱却というメリットはある。
一方その潜在的敵国関係、不信感により、米国の仲介による和平は受入れ難い。
しかし中国なら同じ反米米国不信同士である。受入れに際して、抵抗は小さい。


一方、中国にとっては、石油資源大国を親中派に取込み、米国色の強い中東に楔を打ち込む効果がある。とりわけかっては親米一色であったサウジアラビアを親中派に取込む-これは大きな得点である。


*)ロシア-ウクライナ戦争の和平仲介は?
 ロシア-ウクライナの場合は、どうだろうか-実は具合がなんともよろしくない。
そもそもロシア-ウクライナの争いは、中国の利害には関わりない事象である。
しかし現況ここに至っては、その帰趨は中国にとって重大な影響を及ぼすものになってきている。


国際的に見栄えの良い、どの国からも称賛されそうな和平を行うだろうか。
 当事者国双方にとって最善となるよう無心に努力し良心的に斡旋する-というようなことをするだろうか。無いだろう。中国にとってはあまり都合がよろしくないのである。


ロシア-ウクライナ戦争の帰趨は、どちらかと言うと、ロシアが勝利する分にはよい。
完全勝利なら最も良い。
 できればプーチンが当初意図したように、ロシアの電撃的な侵攻で短期日のうちに一方的な勝利に終わっているのが、一番望ましかった。

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