zepeのブログ

いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

中国の本音-中国が演ずるウクライナの和平仲裁(2)

*)次の出番-中国にとっての先行指標
 しかし現実はそうはなっていない。
現況からすれば、この戦争が長引き、その挙げ句ウクライナが低迷し勝利が決して得られない・抵抗は無駄だと判明し国民の士気が衰えて継続困難になり、ロシアの勝利に終わる-こうした状況が望ましいだろう。


*)和平仲介はポーズ
 ウクライナは停戦、平和、独立国家としての安全保障を希求し、中国に和平仲介の役割を期待する。そして国際社会の期待に沿うかのように、中国は和平を仲裁に励むようなポーズを取る。しかし、実は中国にとって、ウクライナに好ましい和平は決して成立してはならないのである。


*)次は自分の番(中国対台湾)
 ロシア-ウクライナ戦争は、次に控えている中国台湾侵攻戦の先行指標である。
戦争の帰趨は中国の台湾侵攻政策に重大な影響を与える。
 ロシアを中国、ウクライナを台湾と見立ててみればよい。
さらに中国にはウイグル族、チベット族問題を抱えており、また蒙古族もある。


*)独立主権国家・民族自決国家の樹立は決してあってはならない
 いかなる意味においても、ウクライナの完全勝利は決してあってはならない。
またプーチン政権が崩壊するのも習近平にとって好ましいことではない。


独立主権国家や民族自決国家の樹立などは、中国にとって決して認めてはならない、あってはならない、望ましくない状況である。
 ロシア-ウクライナ戦争に続く自分の番(台湾有事)になった時、和平で収まる(台湾存続・自立)ことになってはならないからだ。


一番望ましいのは、ウクライナ(=台湾)が敗北し、全領土がロシア(=中国)領になり、ウクライナ国家が消滅することである。そうなれば、中国が台湾侵攻し自国領土化することに何の障害も無い。道義的にも、侵攻(=戦争)の大義名分の上でも、世界動向の趨勢の上でも、
 そしてプーチンの企てが成功し、強大な政権として存続するのが望ましい。


*)中国の本音-駐仏中国大使の発言
 こうして特使を派遣し和平仲介を行うかのように振る舞っている最中(さなか)、中国駐仏盧沙野大使が、「ウクライナを含む旧ソ連諸国には、主権国家としての地位を明文化した国際合意は無い。即ち、国際法上有効な主権国家ではない」と発言し,不評を買った。
 これが公的には何と言おうと、中国の偽らざる本音である。


チベット、ウイグル、蒙古族を抱える中国は、旧ソ連が解体し、旧構成国が独立国家になったなど認めることができない立場にある。ウクライナ(=台湾、チベット、ウイグル)は、ソ連(ロシア=中国)の一部であって、独立する権限など持ってはならないのである。


リトアニアのランズベルギス外相は、「バルト三国がなぜ『ウクライナの和平の仲介者』としての中国を信用しないのか」疑問に思う人ば、この発言を聞けばよく理解できるだろうと批判した。


公的には、駐仏大使の発言の波紋が拡がり、欧州社会全体にあまりに批判と反感が起きたために、中国はあわてて毛寧外務省報道官を通じて、発言を否定し火消しに走った。
 しかしこれは外交上の表面的な取繕いであって、駐仏大使の発言は中国指導者(現在は習近平、過去には毛沢東以来、鄧小平以下歴代政府関係者)の本心である。
 ウクライナ、バルト三国、中央アジア諸国等々、旧ソ連邦構成国は、中国におけるチベット、ウイグルの如く、本来ソ連(ロシア)の管轄下にあるべきものであって、主権を持つ独立国家では決してない、と。

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