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いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

コロナウイルス専門家会議-自己反省など不要。一刻を争う感染爆発寸前の時に警告発出。政府のコントロール下にあれば対策は遅れ事態はより深刻になっていただろう。独立した感染症対策専門家組織は必要。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、踏み込み過ぎ、越権の感があった、という自己反省の弁。
--少しもそうは思わない。自己反省など不要である。一刻を争う感染爆発寸前の時に警告発出。その判断は正しかった。今日日本が先進国の中で比較的低い感染率をキープしているのは、危機切迫時に適切に発信したからである。政府のコントロール下にあれば対策は遅れ事態はもっと深刻になっていただろう。


中国の国家大権による強制封鎖、韓国の強制的な個人の位置情報追尾、欧米の罰則付きの法制管理。こうした遵守義務を伴う強制措置無しに自粛要請だけで、感染爆発(オーバーシュート)を回避し低い感染率で来れたのは、専門家会議が政府から快く思われないことを覚悟してでも敢えてリスク情報を遅滞なく発信し対策を提言してきたからである。


今後専門家会議は廃止し、経済分野や行政の委員も含む「新型コロナウイルス感染症対策分科会」を設置すると言う。
 これはどうか。--平時は良いが、一刻を争う緊急事態の時に、多分野・多人数の委員会では一致した意見に取りまとめ即断することなど不可能である。
 誰が委員会の意見を決定することになるか。事務方は体質的に即断や従来からの変更を嫌う。彼らはその分野の本当の専門家の意見を尊重するように見えて、実は背後の行政の長、首相や利権が関わる代議士の意向を優先、あるいは忖度するだろう。そうするとこの分科会での結論を実質的に決定するのは官邸の意向ということになる。


もし政治家、事務官の手で操作されたらどうなるか。素人の論理で左右するとどうなるかは、前回の緊急事態発出直前の状況を見るがよい。安倍首相が人との接触を80%以下にしてほしいと繰返し要望し、明日から規制を開始するというその前日、
さあこれから大変だと、国民が身構えていると、関係知事会議などでは、小池都知事を除いて他の地方自治体の知事、代議士等が例外をいかに盛込むかという議論に終始--決まらない。
 「あれ!、接触率80%減少が目標じゃなかったの?」--唖然である。
 「国民は努力しなくてもよいのだろうか。それほど真剣に努力しなくてよいんだ...。」
一瞬このような思いに捉われた人は結構多かったのではなかろうか。
政治家は自分の利権、選挙、人気、支持率が優先だ。


米国と比較するがよい。米国疾病対策予防センター(CDC)、米国立衛生研究所(NIH)、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)などは専門家会議や諮問委員会ではなく、すべて多くの職員を抱える国の機関である。専門的見地を議会や政府に答申するだけでなく、データ収集、研究、規格・標準の策定も行っている。そこで決められた米国の基準はそのまま世界標準、国際規格と見なされることが多い。
トランプ大統領の意向とは違った判断を発信し不興を買っているが、真実を曲げて発表したら科学ではないし、それは後に明らかになることである。


強制措置無しで対応している日本の姿勢は世界的に見ても好ましい。そのかわり非常事態時の決断、迅速な対応などのパフォーマンスは諸外国に劣る。この硬直化した組織と状況に即応できない決定化プロセスは、日本に特有の弱点であり、太平洋戦争で米国に敗北した一要因でもあった。


遅滞無く決定し対策を実施するにはどうすればよいか。経済界の要望、利権確保、支持率保持などといった多方面からの利害の混入しない、政府のコントロールから独立した、小回りの利く少人数の高度な専門家組織。純医学的見地からの情報発信、リスク喚起という準戦時体制。-これらはこの1~2年コロナウィルス感染状況が落ち着くまで絶対に必要だろう。

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