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恐怖はロシアとプーチンの支配のための最も効果的な常套手段-ウクライナの戦線後背地クリミア内深部攻撃(2)

*)恐怖は、ロシアの(そしてプーチンの)支配のための最も効果的な常套手段
 ウクライナに対しては何をしても許されると思っているようである-特に軍上層部は。
ロシアが勝利することは、なにものをも帳消しにして、国民が願い、喜ぶものだからである。
 そしてまたウクライナに恐怖を与え、勝利すること-それがプーチンを満足させることであり、同時に彼ら高位職業軍人の地位の安泰を保証するものだからである。この方針に沿わなければ、彼らは無能として更迭される。


恐らくは戦闘現場の最前線に派遣される若い最下級の兵士達自身は、個人的に戦争をやりたいという動機はもともと持っていないし、実際に戦闘現場に投入されるまでは持ちたいという理由も無かった。
 より高齢の上層職業軍人達にとっては、敵に打ち勝つ輝かしい戦果を上げ、二度と敵がロシアに反抗して立ち上がることができないようにする-これがロシアの周辺国に対する伝統的考え方であり、これまで行ってきた常套手段である。
 我々には小さなニュースで気にも留めなかった、例えばチェチェン紛争などでは、現地反ロシア抵抗勢力を息の根を止めるまで徹底的に弾圧し尽くす。時々モスクワなどでテロが起きることがあるが、残存勢力の一部分子が隙を狙って起こしているのだろう。


*)ロシア軍の誤算
 ロシア軍はこれら今まで行ってきた同じやり方を、ウクライナでもまた行ったのである。ただウクライナはクリミア地域失陥以来、準備をしていた。それも英米・NATOの協力を得て、入念に。そしてSNSを大々的に活用して、ほぼリアルタイムで戦況を世界中に発信した。だから今まで知られることのなかった、民間人に対するロシア軍の非人道的・残虐行為の真の姿が、世界中の白日の下に晒されることになった。


軍指導部にとっては想定外の事態だった。短時日のうちに完了させるはずが、そうはならなかった。プーチンにとっても見込み違いであった。こうした事態は歴史的にいつも起きていることである。日本でも明治以来、先の大戦に至るまで、その例をいくらでも見出すことができる。
 ただそれにもかかわらず、ロシアの軍事力は圧倒的に強い。


*)敵の背後、兵站・集積地を叩け
 前述の如く、敵の前線背後の兵站・弾薬集積地を叩く作戦は、状況によっては前線での直接交戦での戦績以上に敵に与えるダメージははるかに大きい。
 ウクライナはこれを実行すべきである。ところがロシアはこうした施設をロシア領に置くようになっている。


*)ロシアはウクライナ国内を自由に攻撃できるが、その逆は許されない
 ロシアはウクライナをいつでも好きな時に、自由に攻め入ることができる。しかしウクライナはロシアに攻め入ることはできない。
 なんとも不公平な話だが、ロシアとの直接対決の事態に発展することを懸念する米国もNATOも、ウクライナがそうした攻撃をすることも、攻撃力を保持することも支持していない。
 これでは不公平であるが、ロシア本土は叩けない。


*)クリミアはロシア(本土)ではない
 ウクライナは敵の前線背後の重心(ロシアの内陸中心地)を叩くことはできない。
しかしクリミアの戦線後背地の軍事基地・弾薬集積地は攻撃することができる。なぜなら、そこはロシアではなく、本来ウクライナの国土だからである。


*)クリミア攻撃
 いまウクライナはクリミア後背地弾薬集積地を攻撃し始めている。
これが可能になったのは、一つにはある程度飛距離のある長距離砲を手を入れたのだろうし、またドローンなどの無人攻撃機を活用してのことだろう。それだけの航続距離があるのか、疑問にも思うのだが、ロシア黒海艦隊旗艦モスクワの撃沈の際にも、地対艦巡航ミサイル「ネプチューン」がうまく命中できたのは、その前にドローンによる幻惑があったからとも言われているから、それだけあるのだろう。

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