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いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

人道への罪でプーチン大統領は告発できるか。(5)ロシア巡航ミサイルによるインフラ破壊。ウクライナの取るべき方策:露軍後方補給線攻撃。

*)サイバー空間SNS情報発信・宣伝アピールの重要な現代戦
 ウクライナ-ロシアの現代戦。プーチン大統領・ロシアは人道に反する残虐行為を行いながら、ウクライナが行ったと平気で噓を言う。
 我々の身近でもよくあることではないか。お偉いさんが言うと、噓とわかっていてもどうしようもない。
 ロシア周辺の国々や民族は過去何度も経験しているから、危機感は半端ではない。ポーランドは第二次世界大戦の開戦となった西方からのドイツ軍侵攻とともに、東側からソ連軍が侵攻し、その後ポーランド軍数万人がカチンの森で大量虐殺されている。


ウクライナ・ゼレンスキー大統領のアピール力も凄い。
 現代戦は宣伝戦の様相を呈する一面もある。
同じようなことを日本人にできるか。なかなかできないだろう。
文化の違いが関係してくる。むしろ韓国、中国などは得意だろう。韓国の韓国文大統領などはゼレンスキー大統領のような実質や実体は無いが、うわべはなかなかうまい。相手が悪く自分達は正しいと印象付けるレトリック(修辞技法)に長(た)けている。
 国際機関の決議は多く多数決である。小国が多数ではあるが数が多いアジア・アフリカ諸国にアピールするこうした手法とそれを企図する国に対しては、文化的にそうした手法や考え方にあまり精通せず、おろそかにしがちな日本は気をつけなければならない。


*)ロシアの侵攻作戦
 ロシアの侵攻を見ると
1)まずデマを流し、人々を不安がらせ、世論を分断し、現政権の支持率を低下させる。
2)主要行政・金融・産業・軍事施設をサイバー攻撃し、混乱に陥れ、機能を麻痺させる。
3)情報・通信機能を遮断・麻痺させる。
4)空港・空軍を爆撃し制空権を奪う。
5)できるだけ組織的抵抗力を奪った後で、空軍による安全確保のもと、陸軍が越境・侵入する。


こうした手法で、効率良く短期間に戦闘目標を達成するつもりだったのだろうが、当初の見込みとは異なり、必ずしもうまく行かなかった。接近戦で予想以上の頑強な抵抗とそれに伴う損害を受けた結果、現在は、


6)戦闘前に、前線より遙か後方のリビウの武器集積所、キエフのミサイル生産工場、発電所・鉄道変電所など重要インフラを巡航ミサイルを使って攻撃し、国の機能を破壊・麻痺させる。


ロシアの取るこの戦略は基本的に正しい。
 少なからずウクライナの軍事能力を低下させていることだろう。圧倒的なロシアの軍事力に対して善戦しているとはいえ、軍事・インフラ施設を破壊されれば、継戦能力は低下し国力も維持困難になり、どうしようもない事態に陥っていく。
どうすべきか。


*)ロシアの巡航ミサイルに対する防御システムは?
 巡航ミサイルによるインフラ施設の破壊。はっきり言ってウクライナはこれを止められなければ、勝利は無いだろう。
 ミサイル発射はカスピ海方面からとか言う。あるいは戦略爆撃機から発射である。これを完全に無力化する技術力は無い。また発進地点を攻撃するのは難しい。
 日本はこうしたミサイル攻撃に対する防御能力を持たねばならない。


防御できない以上、ウクライナにできること-それは同じことをロシアに行うことである。現在、ロシアがウクライナに対して行っていることと同様のこと、これを逆にウクライナがロシア軍に対して行う。
 消耗戦の様相を呈することになるが、必要なことだ。前線で対峙するだけではなく、露軍後方補給線・武器弾薬集積所を狙うべきである。


*)兵站・補給線を叩くことの重要性
 こうした戦略はボクシングのボディブローのように効いてくる。最前線での戦い以外に、倉庫・格納庫・兵站・補給施設を目標とする。


*)日本の軍事思考の特徴
 日本は伝統的にこうしたことを潔しとしない。また好みではない。精神的にこうした視点を見下す。


*)太平洋戦争での日米海戦
 日本は敵空母を一騎打ちで撃沈と華々しい戦果を夢見る。しかしそうした一騎打ち以前に補給船や兵員輸送船は次々と沈められた。
 米軍からすれば、効果としては同じだ。ガダルカナルなどの南方戦線で戦い、日本軍に損害を与えるのも、戦線に行く前に兵員運搬船を潜水艦で沈め海のもずくと葬るのも効果としては同じ、むしろより簡単で大和魂を発揮させず、効果は完全、より効率的だ。
 日本はどんどん沈められたが、逆に日本が米国海軍の補給線を攻撃したという話や戦果はあまり聞かない。
 これと同じことをロシアは今行っている。正当な戦略だ。


*)源義経と壇の浦の戦い
 源平合戦において、源氏はもともと東国が地盤の武家豪族らの棟梁であり、水軍には縁が無い。その船戦さに素人の源義経が何故勝てたか。
 壇の浦の戦いでは、開戦当初、潮流は西(平家側)から東(源氏側)へと流れ、平家は優勢に戦いを進め、源氏は押されていた。昼頃になると潮流は反転し、東から西へと逆転する。
 戦いたけなわになって、義経は平家の兵船の水夫・舵取りを射殺せと命じた。戦闘員でない人間を殺すのは当時の道徳に反し、武士のあるべき精神としては邪道である。しかし船のコントロールを失えば、いくら水軍兵士の軍事力が強くても戦いに参加できなくなる。
 義経はこうしたルール破りや意想外な発想を次々と行っている。そうしたところが頼朝から付けられていた監視役的役割の梶原景時とは合わなかった。
 平家の劣勢が明らかになってくると、それまで様子見をしていた、あるいは平家に与(くみ)していた諸水軍勢力からも次々と裏切りが起き、平家は最後の戦いに敗れ滅亡することとなった。


この時、安徳天皇入水とともに三種の神器も海に沈んだ。義経は必死に探させ、二種は見つけたが、剣(草薙剣)はどうしても見つけられず、永久に喪われることとなった。それでも、直近(令和4年4月)起きた、世界遺産知床での小型遊覧船の沈没事故を見ると、二種の神器だけでもよく見つけられたなと思う。
 純情で支持基盤を持たない義経は、深沈重厚にして思慮周密という頼朝の前では手も無くひねられたが、しかし頼朝の政治力の傘下であるとはいえ、素人にもかかわらず、西国で短期間に水軍を組織し得たのは、相当に力があった証拠である。


*)近代戦は国力の戦争
 第一次・第二次世界大戦のような近現代の国家間の全面戦争は、国力の戦争であり、技術力・産業力の優劣の戦いである。技術力は即、軍事兵器の優劣に直結し、国力は戦争の継続能力に直結する。
 こうした観点に立てば、前の世界大戦で日本は、真珠湾攻撃で戦艦撃沈だけで帰来せず、第三波攻撃を実施して港湾施設、軍事・造船・航空・産業施設を壊滅させる視点があったはずである。
 一方、米国は敗戦一方のさ中にあって、太平洋上の空母ホーネットからドーリットル部隊のB25爆撃機編隊を出撃させ、東京を空襲した後、一部は零戦(零式戦闘機)を設計・生産していた名古屋の三菱重工を爆撃し、その後遠く中国に飛び去った。
 このことが山本五十六元帥に責任を感じさせ、やがて戦局の転換点となるミッドウェー海戦につながって行く。日本は真珠湾に続き、この時も敵空母を発見できず、日米海軍決戦の最大の目標索敵を疎(おろそ)かにした結果、虎の子の空母と訓練を重ね経験豊かで優秀な操縦士群を一挙に全滅させることになった。


*)ウクライナの取るべき方策
 ロシア軍は、軍事・エネルギー・運輸・通信など国家の枢要な機関・インフラをロシア国内あるいは戦略爆撃機から発射させた巡航ミサイルで次々と爆撃・破壊している。
 この戦略は正しい。
一方、地上戦では、戦車は相当に燃料を消費するだろう。原子力でもない限り、頻繁な燃料補給は必須である。
 ウクライナは戦闘最前線での戦いも重要だが、それとともに露軍後方兵站・補給施設・部隊を攻撃することが重要である。

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