zepeのブログ

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人道への罪でプーチン大統領は告発できるか。(2)現時点で旧ユーゴ国際刑事裁判と同様、個人を告発できるか

*)大多数のロシア国民の意識
 再びロシアを偉大な国家にするというプーチン大統領を強く支持する。情報が虚偽かどうか考えたりすることはない。戦争では国を愛しロシアが勝つことを心から願う。これがロシア国民の大多数だろう。
 プーチン大統領は国外向けに欧米の言うことは虚偽だと言い、国内向けにも悪い相手と国のために戦うのだと常時ニュースを流し洗脳する。それが大部分の国民にとって心地良い言葉なのだ。プーチン自身も戦争の状況の細部まで本当の状況をわかっていない可能性がある。


*)ロシア兵の意識
 TVニュースから伝えられるロシア軍兵士もまた同様だ。
ロシアの外にいる人間にはメディアやインターネットで状況がリアルタイムでわかる。
 しかし兵士達はロシア国内と同様に、当然なにも知らされていないし、自分が全体の戦況の中でどういう位置付けにあり、どういうことをしているのか、わかっていない。軍からすれば兵士は命令通りやればよい-それだけである、
 招集されたばかりの兵士もいるようである。個人的にはウクライナを敵として攻撃する動機や意欲も特別無い若い平(ひら)兵士。対するロシア軍を憎むウクライナ兵。状況下の成行で殺し合うはめになる。殺されれば憎しみが生じ、エスカレートする。平時であれば特別憎しみも無い、なんの関わりも無い普通の関係であった者が、互いに殺し合う。悲劇である。


*)上層部のみ真実を知る体制
 もし真実が国民に明らかになれば、衝撃を与えるだろう。
しかしソ連時代も含め、そういう仕方でやってきたのだから、ロシアとしては何の痛みも無い。ロシアは常に勝つ側にあった。勝ちさえすればよいという国民も依然として多いだろうが、プーチン大統領の支持率、次の選挙の勝敗には確実に影響を与えるだろう。
 恐らくは息子の戦死の通知を受け、国民、特に母親達は衝撃を受け、噂が伝わり厭戦気分が拡がって行く。国内では公(おおやけ)には敗戦や反戦・厭戦のニュースは報じられない。モスクワ五輪ボイコットがあったアフガニスタン共産化侵攻・駐留時がそうである。ブレジネフ政権は泥沼化して引くに引けなくなり、最終的には政権が変わった時に、前政権の残滓として思い切りよく引き上げた。


*)体制が変わればプーチン大統領は危うい
 バイデン大統領がポーランドを訪問した時、この男を政権に置き続けるべきではないと演説の最後に草稿に無い文句をチラッと付け加えた。米国政府は慌てて打ち消し、ロシアも含む各国首脳は内政干渉もどきと非難した。
 将来どうなるかは、わからない。バイデン大統領はそうしたことを言っているのではないと否定しているが、しかし撤回もしない。確かにこうした発言はロシア国民の感情を逆撫でし愛国意識を本能的に引き起こしてしまうから気をつけなければならないが、にもかかわらず、バイデン大統領のことを内政干渉だ、失言だ怪しからんと人々は言うが、それではプーチン大統領は一体なんなのだ。


*)政権体制によっては極刑もあり得る
 プーチン大統領、政権・体制が変われば、あるいは他国政権では極刑もあり得るかもしれない。
 将来どうなるかは、わからない。今回のウクライナ侵攻に関してバイデン大統領は北京冬季五輪の随分前から侵攻すると何度も言っていたが、その頃はひとごとのように聞いていた人は全世界中で多かったに違いない。現実にはその警告や予言はほぼすべて的中している。
 真実を知っているプーチン政権周辺の人間の中には将来どう評価されるか、自分の運命がどうなるか、を考える人間がいてもおかしくない。彼らは海外に行く機会もあり、自国がどういう状況にあるか比較して冷静に見ることができる。この体制が永久に続くとは思わないかもしれない。


*)ウクライナ国際司法裁判所にロシアを提訴
 令和4年2月、ウクライナはオランダ・ハーグにある国際司法裁判所(ICJ)に提訴した。3月、これを受けてロシアに軍事行動を直ちに停止を命じる暫定措置命令を発出した。
 プーチン大統領個人に対してはどうか。


*)個人を提訴はできないか?
 国際司法裁判所では国家が国家を訴えるのであり、個人を提訴することはできないようだ。


*)旧ユーゴ国際刑事裁判所
 旧ユーゴスラビア解体後の民族紛争時の、特にセルビア軍によるイスラム系民族の集団虐殺と宗教的理由につけいった女性強姦に対する訴追がなされた。旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)が設置され、ユーゴスラビア元大統領ミロシェビッチ(公判中死亡)、セルビア人勢力指導者ハジッチ、セルビア人司令官ムラディッチらがジェノサイドの罪で有罪判決を受けた。


*)国際刑事裁判所
 この暫定的機構を発展させて、やはりハーグに常設の国際機関としての国際刑事裁判所(ICC)が設置された。
 しかし告訴は、旧ユーゴ国際刑事裁判所の例を見ても、人道犯罪がなされた後に告発するようであり、現在進行中の事象については告訴は受付けられるのかどうか。


*)犯罪遂行後ではなく、現在進行中の犯行を告訴すべき
 受け付けられないのなら、現在進行中の人道犯罪を止めることはできない。可能にするべきである。人道への罪でプーチン大統領を告発すべし。
 なぜか。


*)なぜ現在進行中の事象について告訴か:二つの目的
 なぜ現在進行中の事象について告訴か。これは大きく二つの意味がある。
一つはもちろん現在のウクライナにおける非人道的行為を止めさせることだ。


もう一つは今後に対する予防効果である。
 強権国家が言われなき理由により、これから人道を踏みにじる行為をしようとすることに、する者に、する国家に対して、心理的に牽制する。
 全体主義国家指導者、強権的、独裁的権力者に対する今後の残虐な、非人道的行為に対する抑止効果、領土拡張主義に対する牽制効果である。そうしたことを意図する人間に対して躊躇させる効果を狙う。


*)事態の進行は想像を上回る速さと残虐さ
 プーチン大統領個人の告訴の可能性は、ウクライナ侵攻・市民への無差別攻撃を見ての提起のつもりだったが、現在の事態はそれ以上に予想を上回る速さで、予期以上に残忍な非人道的行為が次々と明らかになり、なおエスカレートして進行中である。キエフ郊外露軍占領地域での市民虐殺、東部地域での無差別砲撃。まだ確認は取れていないがマリウポリでの毒ガス使用というニュースなどなど。
 プーチン大統領の現時点での告発には十分な意義がある。人道への罪でプーチン大統領を告発すべし。


*)厚顔無恥に対するに、北方領土交渉で取るべき姿勢
 ロシア政府の言うこととやることが全く違う、相手に真実ではないと知られていても公然と噓を吐く..、という厚顔無恥が今回のウクライナ侵攻を通じてよくわかった。これがロシア政府・外交・軍部の体質である。
 北方領土返還も、言えば理解して貰えるだろうという相手の慈悲に縋(すが)るような希望や個人的関係・運動だけでは埒が明かないことがよくわかるだろう。背後に力を具備し、互いに実質のある利害を構築しないと進展はいつまでたっても無いだろう(注1),(注2)。


(注1)


(注2)

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