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カジノは北方領土に! 特区設定でプーチン大統領に先を越された日本。

*)カジノは北方領土に
 筆者は以前カジノあるいは特定複合観光施設区域を北方領土に開設すべきと提案した(注1)。


*)北方領土四島返還方針に復帰
 ウクライナ紛争が勃発し、ロシアの他国領土への力による容赦無い軍事侵攻を目の当たりにして、岸田内閣は北方領土返還の路線を本来の四島返還に方針を戻すとした。結構なことである。
 安倍元首相は二島返還だけでも、としたようだ。国民にはあまりはっきりと知らされていなかったが、ある意味裏切りとでも言えそうなところである。


*)プーチン大統領北方領土に経済特区設定案に署名
 一方、プーチン大統領は現在(令和4年3月)ウクライナ侵攻のさなか、北方領土への経済特区設定案に署名した。そして韓国・中国の企業誘致を呼びかけている。


この意味はなにか。


*)安倍元首相二島返還でも失敗
 安倍元首相は、二島返還へハードルを下げてまでして期待した。しかしどこであったか安倍政権末期の頃、いよいよかと期待してプーチン大統領に会ったが、すげなく無視されて、失望感ありありであった。


*)互いの主権の及ばない中間地帯での経済活動
 プーチン大統領はかねて、安倍首相に期待を抱かせるかのような発言もしていたが、日露双方が利益になるようなあり方と言っていた。
 国際航空路線、あるいは国際船舶航路においては、出発国~到着国間の両国の主権が及ばない中間地帯では免税取引が行われる。これに近い状況を活用して香港、シンガポールのような国境地帯での免税・経済特区が設定され経済的繁栄を獲得してきた。
 筆者はプーチン氏は香港、シンガポールのような国境地帯での免税・経済特区を夢想しているのではないかと睨んでいた。


*)プーチン大統領の腹案
 そうした腹案をプーチン大統領は個人的に持っていたのではないかと思う。日露双方が利益になるようなあり方と言うが、自ら具体的な案を述べることは無かった。
 しかし日本側、安倍首相側からも具体的な案を堤上することも無かった。
北方領土返還実現にはロシア国民が納得し得るロシア国内向けの理由が必要である。安倍氏は、あるいは今までの運動は、そうしたことを考えることがなかったように思う。


*)北方領土の特異な地政学的価値重要性
 北方領土は、我が国日本から見れば北端の辺境というイメージだが、ロシアから見れば暖かい太平洋に通ずる南端である。


日米間の最短航路である大圏航路は、北方領土をすれすれに掠(かす)めて通っている。太平洋戦争時の真珠湾攻撃に日本の連合艦隊機動部隊が出撃したのは、北方領土・択捉島の単冠湾(ヒトカップわん)からであったのも故なしとはしない。
 この事実が示しているように、日本人はあまり認識していないが、地政学的、地勢的に、各大陸間の重要な結節点に位置している。特異的かつ重要な存在意義と価値を有している。
 ここからは北米、日本、ロシアに比較的至近の距離で到達できるだけでなく、中国、欧州にも通じている。なぜ中国、欧州か。それは北極航路があるからである。
 枢要な位置にある。今回のプーチン大統領の呼びかけ呼び掛けに応じて、中国が野心を示す可能性がある。日本は警戒しなければならない。


*)プーチン大統領の本心と見切り
 プーチン大統領は本当のところは韓国や中国とではなく、日本と協業をやりたいのだと思う。自分から言い出すことはなかったが、日本と、あるいは安倍首相と、日本をパートナーとして協業したいと思っていたのではないか。
 しかしここにきて、ウクライナ紛争が起き、日本の敵対敵姿勢が明らかになって見切ったのである。日本に対するカウンターパンチ(対抗策)として、経済特区を設定して韓国・中国の企業進出を呼び込むとしたのである。


*)カジノを大阪・横浜に呼び込むという発想の貧困さ
 翻(ひるがえ)って現在の日本におけるカジノ誘致案である。
カジノは海外に行けばそう珍しいものではない。外国に行ってもの珍しく感じたものを、日本に持ってくれば当たるだろうという日本人得意の、もの真似の発想である。横浜や大阪の地方自治体首長の安易な発想、発想の貧困さである。


*)何故外国人は日本に来たがるか
 外国人から見て横浜や大阪の魅力はカジノではない。カジノなど海外にはもっと素晴らしいところがある。カジノは日本の健全でオリジナルな都市文化圏を汚し、また恐らくはいずれ経営維持がお荷物になるであろう。ラスベガスは砂漠のど真ん中に作ったからこそ成功しているのである。日本では北方領土がその特質を活かして最もすぐれている。


*)観光客はカジノをしたくて日本に来る訳ではない。文化と伝統を味わいに来るのだ。
 海外からの観光客は、カジノをしたくて日本に来るのではない。日本の文化・生活様式・伝統を味わいに来るのである。カジノをしたいのは誘致したがっている自治体首長をはじめその取り巻きの経済団体、あるいは建設費にありつこうとしている企業、国からの助成金獲得をもくろむその他自治体である。


*)文化興行リゾート施設建設地としての北方領土の素晴らしさ
 北方領土は世界遺産知床にも近く自然環境は素晴らしい。ここに日ロの文化興行事業-大相撲・能やボリショイバレエ・フィギュアスケート氷上ショー-などを公演する場になれば、ラスベガスに匹敵する世界でもユニークな特定複合観光施設区域にすることは可能だ。日本の政界・財界が総力を挙げて実現に邁進する価値は十分にある。
 カジノ設置はまた、ロシアが最も懸念する返還後の北方領土への米軍駐留の可能性を完全に打ち消す点で重要な意味合いを持つ。


*)折りを見て
 プーチンロシアのウクライナ侵攻により、日本は反ロシア陣営になり、北方領土返還、カジノ建設案はしばらくは駄目だろう。中国の進出には徹底して警戒せねばならない。
 中国は既に北極航路を開いている。それに比べて日本の取組みの遅さ。進取の精神に欠ける現在の日本人の活動。とりわけ政府の世界的視野の無さ。
 折りを見て、カジノほか経済特区案を非公式にでも打診することだろう。


*)憶測通りに事態が現出
 以上特に北方領土に対するプーチン大統領の思惑については、筆者の個人的な憶測である。カジノの北方領土設置案については政府に提起するつもりだったが、時機を逃した。


プーチン大統領は可能性があるように見せかけたりするが、その実よく問いただすと完全にノーである。ただなんとなく個人的には、今までのソ連・ロシア首脳のほかのだれよりも北方領土返還に近いような気がする。その実現にはロシア国民にとっても大きなメリットがあるというロシア国民に対する理由付けが必要である。プーチンが政界を去れば、北方領土返還の可能性はまた一から出直しに戻るだろう。
 ラブロフ外相は訪日する際、必ずその直前に北方領土で軍事演習やロシア首相初上陸など日本の期待感を逆撫でするような演出をしてから来日する。日本政府は会談の前に顔に泥を塗られながら神妙に出迎える。


北方領土に関する経緯は、その後様々な事態が起こり状況は変遷しているが、しかし形は少し違うところがあるものの、おおよその流れはほぼ自分が感じた通りに、事態は現出しているように思われる。本稿はもっと以前に掲載するつもりでいたが至らず、事態が変遷したいまここに記した。


(注1)

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