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いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

林外相初仕事にG7外相会議に出席。各国要人と知り合えて良かったと。外相としての仕事・成果は無かったのか?。北京五輪ボイコット問題は?、民主主義国会議は?。親中派ともされるが前任の河野・茂木氏に比べ立脚点の不明さが際立つ。

*)G7外相会合に出席した林外相
 NHKニュースは、英国リバプールでのG7主要7か国外相会合に出席した林外務大臣は、各国外相との対面での会談を通じて個人的な信頼関係を深めることができたと成果を強調、と報じた。
 また夕食会が開かれたビートルズ博物館で、即興でジョン・レノンの「イマジン」をピアノで奏(かな)で各国外相から拍手喝采を受けた。


*)韓国外相との接触の意味
 韓国の求めに応じて、鄭義溶外相と短時間立ち話をしたとも報じた。
この件に関し韓国外務省は、両外相が「自然に遭遇して友好的な雰囲気の中、歓談した。慰安婦問題など歴史問題での韓国政府の立場を明確に伝えた上で、対話を通じて解決していくべきだ」と強調した、と言うのである。


これの意味は一体なにか。
(1)文字通りの意味-日韓双方は友好的に関係改善をめざす。これも含まれるだろう。
(2)しかしそれよりも韓国国内向けに、現政権と文大統領は日韓関係の改善に努力しているとアピールし印象づけることにより重きがあった。
(3)これはまた日本非難の次のステップの準備台とも成り得る。即ち、韓国は友好に努力しているが、日本はかたくなで誠実に対応していないと言い得るだろう。


いつもの文大統領の自分は正しく他者が悪いという印象を与えるレトリック(修辞技法)のうまさだが、それに加え、今は次期大統領選挙の微妙な時期にあるということを忘れてはならない。与党候補は日本に対抗し日本に追い付き追い越せとも言っているが、一方で友好関係にも努力しているのだと。


*)北京五輪後の習近平の意図
 林外相初仕事にG7外相会議に出席。各国要人と知り合えて良かったとNHKニュースは報じているのたが、外相としての仕事は成したのか。成果はあったのか?。北京五輪ボイコット問題は?、民主主義国会議は?。
 北京五輪後の習近平中国による台湾軍事侵攻の可能性について議論に上げたのか。ほとんどのメンバー国が地政学的に遠いことから、こうした認識は持っておらず、北京五輪ボイコット問題も比較的遠い問題。G7仲良しクラブという印象もある。


習近平は北京五輪を大成功に終了させ、世界に中国の力をアピールするとともに、国内向けにも偉大な習近平を印象付ける。五輪を成功裡に終えれば、残るは台湾侵攻である。これは中国国内では文句無く是認されることであり、また習近平を間違いなく毛沢東と並ぶ偉大な領袖とすることができる最終目標である(注1)。


*)北京五輪ボイコットの意義と関心の低い欧州G7メンバー国
 G7構成国に多い欧州各国は人権や地球温暖化には非常に敏感ではあるけれども、地政学的に遠く離れており、自らの国の存立や国益を直接的には脅かさない問題であるために、習近平の最終意図と台湾有事に関する上述のような認識は持っていない。


11月まで中国空軍は台湾の領空侵犯を毎日のごとく行っていたが、民主主義サミット、G7、とりわけ北京五輪ボイコット問題が大きく脚光を浴びるようになってから、台湾領空侵犯はほとんど聞かなくなった。この期間に行えば会議参加国は如実に認識する。米国ほかによる外交的ボイコットだが、その動きが伝播・拡散するのを極力避けたいのである。中国外交は利害得失を冷静に厳しく反映する。


習近平の意図をひしひしと感じているのは、他ならぬ当事国の台湾、それにインド太平洋から地球・宇宙規模にまで中国と対峙せざるを得なくなった米国および米軍-特に米国海軍、台湾の先には太平洋島嶼国とともに対峙する豪州、それに日本では安倍元首相、恐らく菅前首相も、である。


*)G7外相会議は、認識を新たにするよい機会であったのだが..。
 林外相は「各国外相と個人的な信頼関係を深めることができた」ことに自分なりの意義を感じたようだ。文化・芸術・学問は国としても外交的にも重要である。
 もちろんロシアによるウクライナ侵攻や中国の途上国への経済的威圧、北朝鮮の拉致問題も含め、全般的な討議と連携方針は確認している。


 その一方で今回のG7は、習近平中国の意図とそれに対抗する北京五輪ボイコット問題の意義について、各国の認識を改めさせる、認識を新たにすべきよい機会であった。
 しかし林外相はこうした認識も意識も持っていないようだ。親中派ともと言われることもある林外相だが、前任者の河野・茂木氏に比べ立脚点の不明さが際立つ。
こうした印象があるのは否めない。


(注1)

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