zepeのブログ

いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

最近の顕著な新規感染者数減少は若年層へのワクチン接種が進んだ結果である。国民に行動の変容があったからではない。

*)顕著な新規感染者数減少の原因はなにか
 最近の顕著な新規感染者数減少はやや不思議な感じがするくらいである。ワクチン接種の効果が効いているのは間違いない。
 しかし尾身会長以下政府コロナ対策分科会は「国民の行動の変容があった」とし、それも効いているとする。何を言っているのかわからない。


*)国民に行動の変容があったからではない
 以前はいくら緊急事態を繰返しても・延長しても、効果が上がらないのは「国民の危機意識の共有が足りない」せいだとし、今回新規感染者数が減少してきたのは「行動の変容があった」からだと言う。要するに、以前は国民が自分達の言うことを聞かなかったから感染爆発し医療崩壊に至ったのであり、今度は言うことを聞くようになったから効果が上がったのだと言いたいのである。
 そうだろうか?? いかにも自分達の専門分野の専門家のおかげで事態が改善したかのような言いぶりなのだが、--きわめて疑問、疑問中の疑問である。効果が無かったにもかかわらず、自分達-政府専門家集団は重要な存在だとアピールすることを忘れない。


いま新規感染者数が減ってきたのは国民の行動に変容があったためではない。国民に意識が浸透して自覚して行動するようになったからか?-国民はちっとも変わっていない。効果が上がらないまま緊急事態の延長、思いつきのような今度は人流を50%減らせ、その次はロックアウトだなどという手法には国民は飽き飽きしている。


*)疫学的手法
 いまなぜか新規感染者数が減ってきたのは、自分達の効果であるかのような言いぶり-忘れてはならないのは、疫学的手法は最終的には他力本願ということである。自力ではパンデミックを、ウィルス・感染源を、叩き制圧することはできない。専門の公衆衛生学・疫学的手法とは異なる、抗ウィルス薬による感染者の治療回復、予防ワクチン接種による集団免疫形成等があって初めて感染を克服し終熄を現出することができる。


あるいは社会の感染弱者が淘汰されて強い者ばかりが生き残り、結果的に集団免疫が形成されても同じ結果になる。これはそもそもの疫学的手法が生まれた原点である。
 かってのペストでは抵抗力の無い人々は死亡して人口が激減し、生き残った者は結果的に抵抗力の強い、免疫を獲得した人々であった。だからその子孫である我々を含む旧世界の人間は同じ病気に対する抵抗性は高くなっている。
 コロンブスが新世界を発見して以降、現地人をかなり殺したが、それ以上に現地人は持ち込まれた病原菌に対する免疫・抵抗力を有していなかったために人口が激減した。映画の西部劇では開拓時代におけるインディアンとの戦いが英雄的に描かれ、最後には必ず白人が勝利するストーリーになっているが、実際は現地人が都合よく死んでくれたために、それほど大量虐殺することなく摩擦少なく入植することができたのである。


今回のコロナでは、ひところインドでは毎日数十万人もの膨大な新規感染者数があったが、近頃はきわめて低くなっている。多くの犠牲者を出して上記に類した事態が起きたと解される。
 スウェーデンは他国とは異なり、意図的に社会に集団免疫を形成させる感染対策を取ったようだが、その効果はよくわからない。少なくとも成功はしなかった。


*)若年層無自覚・無症状~軽症感染者の軽視
 感染伝播・拡大・爆発の主要発生源(元凶)は若年層無自覚・無症状~軽症感染者である。しかし日本はこれまで軽視してきた。これが新規感染者が湧くようにいくらでも増加し、重症者が増え、病床が満杯になり、医療逼迫・崩壊に至った原因である。


この認識はいまでも変わっていない。TV・ラジオニュースやコメンテーター・専門家と称する人々の言を聞くがよい。至る処に若い人は軽症で済むから大丈夫、自宅待機でよいという発言が出て来る。
 さらに今問題になりつつある学童に対するワクチン接種についても専門家は同じことを言う。感染しても症状は軽くて済むから、予防効果と副反応のバランスを考えて接種するかどうか決めればよいとほとんどが言う。そこにはクラスの他の学童に及ぼす感染伝播、家庭内での感染拡大という感染源としての視点には決定的に欠けている。


*)ワクチンの効果、中でも若年層への接種進展が大きい。
 ここに来てワクチン接種の機会はようやく若年層にも行き渡ってきた。新規感染者数が減少してきたのには、明らかにワクチン接種の効果は大きい。中でも若年層への接種が、遅まきながらも確実に進行して接種率が上がった効果が大きい。


いろいろな地方自治体で公表されているワクチン接種率の年代別内訳を見ると、
若年層の20代、30代は30数%のようだ(令和3年9月21日現在)。


若年層はパンデミック感染(火災)の主要発生源(火元)であり、その接種進展の影響力は大きい。


*)感染に強い社会の形成-重症者の治療と並行して若年層への感染耐性付与が重要
 無自覚・無症状のままでいることが多い若年層感染者。彼らこそがほとんどのクラスターの発生源、感染拡大・爆発の元凶である。そしてこの年代層に感染耐性を付与することが、社会の感染への打たれ強さ、感染耐性扶植の要(かなめ)となる。


だが若年層を感染弱者の高齢者・基礎疾患者より優先してワクチン接種できるか?。
 -重症者の治療、感染弱者の予防を優先しなければならないのはもちろんであるが、それだけでは感染は決して終熄できない。なぜなら彼らは感染伝播プロセスの最終結果(燃え上がる火炎の先端)であって、原因の火元(発生源)を消火しなければ、次から次に火災は拡がり医療逼迫したまま決して終熄しない。新規感染者は順次、中症者、重症者へと移行し、次々と要集中治療者が湧き出てくるからだ。
 この負のサイクルを脱するには、火元(若年層無自覚・無症状~軽症感染者)を消火(隔離・収容・治療)せねばならない。


*)負のサイクルを脱するために
 だからその社会がパンデミックに対して弱い(抵抗性が低い、容易に感染が拡まる)か、強い(抵抗性が高い、感染が拡まりにくい)かは、若年層に感染耐性があるかどうかにかかってくる。
 負のサイクルを脱するためには戦略的に、高齢者・感染弱者への優先接種とともに、限られた医療リソースの中でもやり繰りして若年層への接種を重点的に同時進行させる必要がある。これは即効性ではない。一見効果が無さそうで、そこまで手が回らないと思われそうだが、やがてじわりと必ず効いて来る。


このことを以前から筆者は繰返し提起してきた(注1)。しかし日本の方式は若年層軽視のままである。
 その中で初めて若年層優先ワクチン接種を実施したのは、東京都新宿区歌舞伎町である(注2)。人々の活動の形態とその主たる担い手から言って、認識は正しく、かつ対応方針は戦略的に正しい。本当を言えば歌舞伎町が特殊だからというのではなく、日本全体の医師、厚労省、地方自治体首長、政府がこうした認識をもって対策を考えるべきなのである。


それでは高齢者・基礎疾患者優先の中にあって、どうしたら若年層に接種を進められるか--職域接種である。ここでは若い人に職場の判断でどしどし接種を進めることができる。
 こうして2回接種が国民総数の50%を越えることになった現在、その中には全国展開する飲食チェーン店、各種販売店、メーカー、工場等様々な職場、大学・専門学校の教育機関などでの相当程度の若年層が含まれている。


これはパンデミック鎮圧のために火元(感染源)を消火し負のサイクルを脱するプロセスに相当する。無意識のうちにウィルスを撒き散らし、また無自覚のまま感染してしまう若年層。これら市中感染源密度が低減した結果、数字として新規感染者数の顕著な減少として現れてきた。


*)次期政権首相候補者へ。菅+尾身流で緊急事態を何度も繰返すのはもうたくさんだ。
 現在、自民党内で次期首相候補者を選ぶ総裁選が進んでいる。どうもコロナ対策を本気で考えているとは思えない。菅+尾身流コロナ対策の継続では政権交代の意味が無い。候補者は対策案を策定提示せよ。


尾身氏らのグループは公衆衛生と疫学的手法、感染状況の評価・判定の専門家ではあるが、病原ウィルス・細菌、ワクチン予防の専門家ではない。
 その手法は初動段階で最も効果が大きい。しかし日本は初動対応を軽視する手法なのである(自宅待機で経過観察し、重症化した者だけを入院させる)。
 感染拡大・爆発を放置し、身の回りに感染者(その多くは無自覚・無症状~軽症感染者)が存在する確率がきわめて高い状況になっては、人流抑制と言ってももはや効果が無い。何度緊急事態を延長・繰返しを行っても効果が無いのは当たり前である。


新しい自民党総裁(即ち、首相)候補者は、よもや菅首相+尾身氏結合の方式を踏襲すると考えているのではあるまいな。不吉なことは考えたくないが、どうもあまり深く考えていないようだ。まさかまた尾身氏に頼るという発想しか考えられないというのでは..???。


*)攻めの手法を根幹に据え、パンデミック制圧を主動せよ。
 どの候補者もロックアウトや病床強制供出のための法制化などと言っているが、皆尾身氏流手法に影響を受けている。尾身氏流しか考えつかない発想の貧困さ。


効果が無いことはこれまでの事態で証明済みである。
 全国知事会を見よ。政府に、全国に緊急事態宣言を出せ、(ロックアウト宣言を出せ)と大合唱である。彼らは蔓延防止等重点措置で、緊急事態宣言で、なにか効果を上げることができたか。できないからこそ、エスカレートさせて緊急事態宣言を、ロックアウトをと叫んで要求するのである。自分達の無能力を棚に上げておいて依頼心ばかり強くなる。
 努力や工夫もしないでうまく行かないのは、蔓延防止措置にしないからだ、そして緊急事態にしないからだ、それでその上を作ればロックアウトにしないからうまく行かないのだとロックアウト、ロックアウトと叫ぶに決まっている。そんな状況でうまく行くだろうか。
 これは尾身氏流をマスコミが、野党が、世間が、政府も持ち上げ過ぎて頼り切りになり、自分で考えるということが無くなってしまったからである。この点ではロックアウトは効果が無いと言う菅首相の判断は正しい。


尾身氏流のロックアウトなどという粗暴な手法よりも、
 ウィルス・感染源に対する攻めの手法: ①検査、隔離・治療。②自宅待機・療養には決してせず、③必要に応じ大規模臨時・仮設病院設置、全員収容・治療。他方で、④抗ウィルス薬治療、⑤予防ワクチン接種を進める、である。


尾身氏らはウィルス・感染源を叩き攻撃し制圧・撲滅する専門家ではない。首相の資質もあるがウィルス以外は尾身氏しか考えらなかった菅首相の轍を踏むことは無いように。疫学的手法の専門家は日本の初動対応方法を改め、評価に専念し、日本は感染制圧にはウィルス・感染源を叩く攻めの手法を主動とする。
 決して尾身氏を首相記者会見に帯同して彼らの言うままに感染対策を任せることがないように。今後もパンデミックに対しては攻めの手法(注3)を根幹に主動せよ。


(注1)


(注2)


(注3)

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