＊）毎日悩んでも尾身方式では事態の改善は無理
　毎日、小池都知事は渋い表情で、人流が減らない、新規感染者数が下がりきらないと記者会見する。
　接触回避のみの尾身方式でいくら緊急事態を延長しても、市中の感染源＝無症状感染者（主に若壮年層）は放置している訳だから、事態は改善しない。
　感染の初動段階ならともかく、既に市中に感染源がうようよいる現状で、接触回避の消極的・受け身の手法ばかりの尾身方式は効果が無いことは、はじめからわかりきったことである。にもかかわらず、いつまでも続けてうまく行かないとまた続ける。

＊）攻めの手法に転換せよ
　いくら良くならない、良くならない、と毎日悩んでも事態の改善は無理である。
一刻も早く認識を変え、ウィルスと感染源をターゲットとする攻めの手法（以下）に転換する必要がある。
（１）主たる感染源＝無症状感染者の隔離・収容・治療－最も即効性あり。
（２）ワクチン接種で感染耐性を付与する－即効性劣るから大規模迅速が必要。

＊）感染制圧の成否は若年層の扱いが鍵となる
　体力も抵抗力もある若年者は、感染しても発症せず無症状のままでいることが多い。そのため無自覚・無症状のまま、社会的にも活動が活発で行動範囲も広いから、本人は気付かぬまま市中を徘徊しウィルスを撒き散らす。ほとんどのクラスターの発端は彼ら若年層無症状感染者であり、感染源元凶となっている。
　これまで日本は彼らを無症状だからという理由で軽視し、自宅待機・療養と放置してきた。これが日本の対策の誤りであり、感染拡大・爆発をもたらし、いつまでたっても終熄しない理由である。

＊）五輪開催は迫る。ホストシティとして今やるべきこと
　五輪開催のホストシティとして現状のコロナ状況は不十分である。
本来は感染源を取り除く（１）が最も有効なのだが、既に五輪開催は差し迫っている。時間が無い今、（１）の大規模臨時病院の設営は無理だろうから、やれることは（２）のワクチン接種である。
　ワクチンは感染源そのものを叩く（＝（１）の手法）のではなく、感染源はそのままにして周りを固めていく（未感染者が感染しないようにする）手法だから、効果が出るには社会の大部分に行き渡る必要があり（集団免疫）、即効性ではない。目に見えて効果をあげるには大規模一気に行わねばならない。
　即ち、いま行うべきは、ワクチン接種の大規模迅速実施、それも主たる感染源元凶である若年層を重点的に行うことである。
　ここで感染弱者の高齢者層、次いで社会活動の中堅担い手の壮年者層を通り越して行うのは問題だと異議が出るだろう。もちろん高齢者・基礎疾患者などの感染弱者をおろそかにすることはできないから、実施にあたってはそれなりの工夫が必要である。これにはいま政府が進めている職場接種方式等を通じて実質的に若年者層の重点接種を可能にする。

＊）超法規的措置、民間活力の活用
　ワクチンの打ち手となる医師・看護師ほか医療従事者が足りない点については、政府が進めている歯科医師・臨床検査技師・救急救命士等まで拡げた超法規的措置を活用する。
　特に東京および首都圏には地方に比べると、国公立及び民間病院だけでなく、医療系教育施設－大学医学部、医学部病院、医療系専門学校も集中している。人的リソースには恵まれている。また医療系学生による補助バックアップも可能である。
　さらに民間活力の活用。いまの政府はこれに対してあまり乗り気ではない。しかし今後の日本における新しい事業推進のあり方として可能性を秘めており遂行する価値は十分にある。
　とにかくなりふり構わず方式を転換し、これから３週間以内にやりきることが必須である。時間は差し迫っている。

＊）思い切った大胆な対応こそ国民が待ち望んでいたもの
　菅政権は１日１００万件接種をめざして超法規的措置による大規模ワクチン接種を始めた。こうした思い切った措置はもっと早くから行うべきであったが、とにかく遅きに失したとは言え、やっと踏み切った。
　これこそ国民が求めていたものなのだ。救済（感染源撲滅）を他力本願でひたすら待ち続ける尾身方式の手法。いつまでも効果が無いことをだらだらと続ける－こんなことは国民はもう飽き飽きしているのだ。
　不評であった菅内閣の支持率も上がり始めた。一旦逃げ出した海外からの株式投資マネーも戻り始めた。

東京都議会議員選挙も迫っている。小池都知事は政治的支持率を得たいと願っていることだろう。菅首相も思い切った超法規的措置に踏み込んだのである。
　いまこそ閉塞状況を打ち破るべく、リーダーが行うべき、かつ国民が待ち望んでいことを実行すべき時である。東京都は、小池都知事は、ただちに尾身方式から転換し、全力を挙げて攻めの手法に邁進すべきである。