大阪府の感染爆発が止まらない。東京都も増加が止むどころか、これからさらに増加しそうである。感染性の強い変異ウィルスが従来型に換わって主要部分を占めるようになり、感染伝播のスピードも、個々の患者の悪化・重症化スピードも速くなり、重症化しやすい年代も高齢者から若壮年者年代に拡がり、さらには幼少年代にも拡がりそうな勢いである。

政府の菅首相も新型コロナ感染症対策分科会の尾身会長も、東京都の小池都知事も、大阪府の吉村府知事も、国民に自粛疲れ・自粛慣れが出て来て気の緩みがあるとして、一層の自粛励行を呼びかけ、飲食店規制をより厳重にしようとしている。

こうしたことをいくら厳重に、精緻に、行ってもコロナ感染増加、さらにこれからの感染爆発は防げないだろう。
　なぜ感染が起こり拡大するのか。そこに感染源がある、具体的には無症状感染者、時には無自覚感染者がいるからである。
　なぜいるのか。現在の日本の施策・厚労省の施策・分科会の施策が無症状感染者・軽症者は自宅待機・療養でいいよとして野放しにしているからである。そして重症者のみ治療する。
　無症状感染者は感染を拡めて周囲に無症状感染者を生み出し、さらにその輪を拡げていく。市中でこれが進行し、その中で感染弱者の高齢者・基礎疾患者・重症者のみが発症して人々は気付く。

ここに来て変異種の出現により、悪性度と悪化スピードが増し、今までよりも事態進行が速くなり、新規感染者数も増加スピードが速くなっている。

マスク装着・三密を避ける等以下の種々の対策を行ってきた日本の方針は今まではそれなりに効果を示してきたが、これ以上の改善は無理だろう。その理由は人々の接触を避けるだけで、感染源には目をつぶっている方策にある。

これからの段階は感染を防ぐだけでなく、感染源を叩く対応が必然であ（注１）。
政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身会長からは、いつまでたっても感染源・ウィルスを叩くという発想は出てこないようである。分科会のメンバーは公衆衛生・疫学的感染防御対策の専門家なのだろうか、密集を避ける・緊急事態宣言などの間接的・受動的手法しか出てこない。医学のもう一つの立場は感染源のウィルスを直接叩くということである。
　この手法で具体的に現在できることは、主要感染源の無症状感染者を隔離し、市中からその人口密度を劇的に下げることである。もう一つ直接ウィルスに関わる方法はワクチンである。－これは有効であるが、国民全員に行き渡り集団免疫が形成されるのに時間がかかる、感染源のウィルスそのものには手を付けず放置したままという面がある。
　パンデミックに対する方法には、人と人との接触を避ける疫学的手法と、感染源そのものを叩く恐らく医学本流の手法の両者があるが、これ以上の効果は後者を実施しなければ得られないだろう。

具体的には自宅待機・療養者、これから見つかるであろう無症状感染者をすべて隔離・入院・治療することである。今まで放置してきたから、その数は膨大になるだろう。だから大規模臨時病院・仮設病院が必要になる。東京都は１万人クラス。そんなことは無理で絵空事と誰しも思うだろうが、こうした遂行能力は絶対に必要である。今後も大災害は起こる。特に東日本大震災クラスかそれ以上の規模になる東南海地震は、近い将来首都圏ほかを襲うことは確実である。その時はより大規模な対応が必要になるだろう。
　大規模臨時・仮設病院が医療従事者の不足等から今すぐは無理なら、少なくとも宿泊施設への隔離だけでも早急に行うべきである。これだけでも市中の無症状感染者密度を一気に下げれば目に見えて効果が出るだろう（ゆっくり継続的に行っても効果は無い）。今宿泊施設はコロナで経営は厳しい状況にある。これをどんどん活用し、民間に金を落とすべきである。蔓延防止等重点措置を申請あるいは申請しようとしている兵庫県・宮城県・沖縄県など他の都道府県も同様に行うべきである。
　また国は、東京都は、オリンピック警護のため全国から招集される警察官用宿舎として建設され、その後コロナ入院用に改装されたまま一度も使用されたことのない施設、これを活用すべきである（注１）。

今は、日本も、東京都も、大阪府も、厚労省も、医師も、無症状感染者や軽症者は症状が軽いから自宅待機・療養でよいという認識の誤りのまま市中に野放しの施策を行っている。そして重症者にかかりきりになりそれで手が一杯である。－こうした認識を改めねばならない。無症状感染者の放置が感染拡大の元凶と認識し対策を立て実施すべきである。

（注１）