zepeのブログ

いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

辞意の森会長、後任に川淵氏を指名-違和感覚える人事プロセス。東京五輪組織委は個人や自民党の私物ではない。先走るマスコミの軽さも鼻につく。

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、「女性の入った会議は時間がかかる」発言から、女性蔑視だと反感を買い、マスコミ・アスリート・大会ボランティアらからこぞって批難され、辞任に至る。
-マスコミが、国民が、今更騒いでも、森会長はもともとこういう人だったのだ。はじめに就任した時、なぜこんな古い人をと思ったりしたのだが。


最近の出来事では、これはどうか?と思うことが2件あった。
 1件目は、コロナでオリンピック開催を危ぶむ声が出始めたのに対し、「日本のアスリートのために、東京オリンピックの開催は是非とも実現しようではないか」という発言。
 これでよいのかという違和感あり。日の丸意識は結構だが、オリンピック関係者の語る感覚ではない。オリンピックは全世界のものだ。こんな狭い見識ではオリンピック開催ホストとしてふさわしくない。
 単一民族からなる日本。他国からは覗き見される心配の無い閉ざされた空間だからこそ通用する、親分が身内をひいきし、子分は恩義を感じて親分に心酔する。こうした人情関係で物事が決まる、他人には窺い知れぬ関係。-世界には多数の民族、国家がある。これは海外の者には理解できない。感覚がずれている。


これに続いて起きたのが、「女性の入った会議は時間がかかる」発言から、女性蔑視だ、女性差別の日本の古き悪しき慣習だ...。ジェンダー差別という批難もかなり針小棒大に取り上げられたとは言え、マスコミからさんざん叩かれ、抗議の嵐、ボランティア辞退が続出した。日本特有の、流れがそちらに傾くと、誰もが、どの報道番組を見ても同じ一人の人間を糾弾、こぞって指弾する大合唱の挙げ句、辞任を余儀なくされた。
 これはその通りのことなので、付け足して言うことはなにも無い。


それはそれでさることながら、むしろ辞任を余儀なくされた森会長が後任に川淵三郎氏を指名。川淵氏は人生最後の大仕事と言って引き受ける。-こちらのほうが納得行きかねる。候補者として良いのかもしれないが、なんとなく、これでいいの?...と違和感を覚える人事プロセス。
 森会長は後任に川淵氏を指名し、川淵氏も森氏を相談役にと言っている。
東京五輪組織委は個人や自民党の私物ではない。まして二人のものでもない。森氏が辞めるのはよいが、後任を勝手に決める権限はあるの?...と疑問が起きてしまう。
 ここらあたりが、森氏が国際事業やオリンピック担当にふさわしい資質の人なのか、明らかにクエスチョンマーク(?)であることを如実に示している。


暴力団の親分から親分への権力移譲みたいな。勝手知ったる者に移譲して、自分は名誉会長職みたいな地位に治まって影響力を保持し続けるみたいな...。
 異なる言語・食べ物・環境・文化・習慣を持つ多様な国々・人種・民族・部族・家族の人々の誰もが明快に正しく理解できるプロセス。こうしたことを国際感覚の当たり前の常識として行動する。
 こういった行動規範とはまるで無縁の親分感覚。身近にいる人には慕われるのはわかる。
しかし親分とは全く縁もゆかりも無い、昼間と夜が逆転している地球の裏側の、閼伽(あか、赤)の他人にも、容易に理解できる、わかりやすい説明、誰もが納得して了承できる透明性のある人事プロセス、とはほど遠い。


多額の寄附を行うスポンサー企業の多くは、日本を代表する国際優良企業である。当然国際的な企業活動、経済行為を行っている。国際関係に意を払い、多数の異なる人々を顧客としている。民族や少数者や他者を差別したら、批難されボイコットされ、企業活動が立ち行かなくなる。当然、森氏はスポンサー企業ともコンタクトしているはずだが、そうしたことへの配慮という発想すらさらさら無い。森氏は限界がある。あくまで国内政治家、党人政治家である。


なぜ菅首相は辞めさせないのか-不詳事を起こした副大臣の首を即座に切った菅総理大臣は、おっ! 結構やるじゃないか~とやや見直したものだが、相手が元首相で長老の森氏では、小者(こもの)の菅首相には首を切るのは無理だろう。もしやったらたいした英断だが、人でなしと総スカンを食らうことは目に見えている。やれる訳がない。


森会長はもともとこういう人だったのだ。にもかかわらず、なぜ会長は森氏だったのか。
 通常、オリンピック参加に要する資金は日本オリンピック委員会(JOC)に渡され、使途はその裁量にある。今回は自国開催ということもあるが、総額が大きいということもある。大きな資金源を自民党が放っておくはずがない-自分達の手に、と。
 新国立競技場、各種スポーツ競技会場、選手村、交通インフラの建設・整備...。
これらを今までのオリンピック委員会のような第三者的な機関に預けて放っておくはずがない。
 なんといっても金である。金で給料で人は生活し、企業は金を稼ぐ力で評価され、所有する資金が大きいほど影響力は大きく人や会社が群がり、政治家には権力の源泉となる。
 だから新たに設立した政府の影響下にある組織に集約する。開催経費総額1兆6000億円、うち組織委が7000億円負担。


だれを東京五輪・パラ組織委員会の会長にすべきか。
 橋本聖子現五輪担当相か。前スポーツ庁長官鈴木大地氏か。鵜の目鷹の目で議員が狙っているのである。彼らでまとめていけるか。歴戦の腕に覚えのある自民党議員に対して押さえが効くのは誰か。海千山千の政治家に対して橋本聖子氏や鈴木大地氏で対峙できるだろうか。
 もちろん政界、財界、国際機関と折衝し事業を推進せねばならない。それだけのことをできるか。まず~...ないだろう。


森氏なら体育会系で自民党の長老だし、いかな自民党のやり手の議員であろうと押さえが効く。
 自民党の大物議員が、スポンサーが寄附した多額の予算の使い道について許諾認可する裁量権を自分の手に握ろうとしても、自分の息がかかった企業に受注させようとしても、自分の選挙区に利益誘導しようとしても、相手が元首相・長老で体育会系の森親分ではさすがに分が悪い。いかな腕に覚えのある若手のやり手議員であろうと、ラグビーが似合い、重量級の柔道選手などを想起させるような体格の森親分に睨まれては黙らざるを得ない。例えば総裁選に出馬した岸田文雄氏や石破茂氏などに比べると、はるかに迫力があるではないか。
 海外に対しても全く知られていないだろうが、元首相という肩書きは押しが効く。


かっていろいろな人事の調整を多くやってその根回し振りが、次はこの人だろうくらいの感覚で首相になったが、国際関係に重要事象が起きた時、休日でゴルフプレイ中、連絡を受け日本の対応を質問されると、今ゴルフをやっているんだ、自分のプライベートな時間だ、干渉するな的な感覚で答え不機嫌であった。数回似たようなことがあって、自民党内からは首相の器(うつわ)ではないという声が上がっていた。まあもともとその通りなのであるが短期間で辞職した。その後、それほど枢要な目立つ役職についたという記憶は特に憶えが無い。
 言いにくいことを結構はっきり言って物議を醸すことなどよくあって、マスコミから叩かれるが、そこが欠点と誰しも言うが、しかし気にせず皆が言いたくても言えないことを言ったりする。他人から批難されようと、敢えてずばり言うのは、少数意見を村八分にする日本の社会にあっては、それはそれなりに貴重でもあると思ってはいたのだが。
 一時は肺癌でもう寿命だと本人も周りからも思われていたのだが、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑・京都大特別教授が開発した 4528小野薬品工業のがん免疫治療薬「オプジーボ」 を投与したら、みるみるうちに癌から蘇(よみがえ)った。
(注1.注2)


 一時は痩せ細っていかにも病み上がりで、もうすぐかという感じであったが、辞任騒ぎの現在、そんなことは微塵も感じさせない体育会系的な頑健な風貌、83歳とは思えないほどの溌剌した元気さ-これも皆から憎まれ、よってたかって叩きたくなる要因かもしれないが。


次の会長候補は?
 本来、オリンピックを招致し開催するホストは国ではなく都市開催であるから、小池都知事の意向が重要ということになるのだが...。
(「女性の入った会議は時間がかかる云々」の発言に対して、マスコミでは日本ラグビー協会初の理事になった女性がそれわたしのこと?と報じているが)、むしろこの小池氏こそ今回の森会長の発言の想定の対象にあるような、天敵のような人であろう。男性からすれば、体育会系の人間からすれば、隅に置けない、一筋縄では行かない、扱うに面倒な人である。それでいてそうした気に食わない言動が結構国民や選挙民に受けるらしく、人気があって自分達よりも選挙に強かったりする。かねてから森氏と小池氏は不仲と言われている。実際、物事の進展についても小池外し的なことはあったかもしれない。


川淵三郎氏はJリーグの立上げなど、かなり力量のある人のようで適任だろうが、自民党の政治家を相手にするような政治力は無くてもよいのだろうかと、フェアな発想ではないかもしれないが、一抹の不安を覚える。
 候補者案は良いとしても、森氏が、自民党が、一存で決めるは困る。受ける川淵氏ももう決まったかのような言動である。時間が無いから急がなければならないが、少なくとも形は公明正大な透明な人事プロセスを取って頂きたい。


次期会長が決まるまで暫定的に御手洗冨士夫名誉会長(キヤノン会長兼社長)が対応するということだが、開催を不安視する意見が多くなりつつあるいま、いっそ河野太郎氏くらいがよいのではなかろうか。行政改革担当大臣で、ワクチン接種担当にかかりきりだから、まあ無理だろうが。
 御手洗氏のような経済界の大物のほうが党派性が無くて良いかもしれない。例えば、自民党は嫌いかもしれないが、京セラ稲盛和夫会長などのような財界大物。彼らは国際通である。多種多様な人々に受入れられるよう配慮を払い、事業を推進する能力、海外の人間との交渉力、問題解決能力、融通の効くスピード感を持って行う実行力、政界・財界への幅広いネットワーク、そして可能な限り事業を黒字に持っていくたゆみない企業人体質-官僚政治家には持ち得ない向上心に富む事業推進力だ。適任である。
 国民には見た目にはまた老人かと人気が無いかもしれないが、オリンピック事業には民間活力を活かすのがよいと思う。


TVに登場する頻度で、国民の茶の間の人気で、決まる総選挙の候補者のような決め方、そういった国民の見方に危惧する。
 国際感覚と政界・財界を相手に事業を推進できる実力者。
橋本聖子氏待望論的な動きが、どのTVチャンネルを見ても出て来るが、やや危惧する。
 会長にふさわしい候補者はと質問されて、川淵氏が会長候補辞退した後に語った「国際スポーツ界、オリンピック事業を急いで勉強し、IOCのバッハ会長ほかと対等に渡り合って事業を推進できる人物云々...。」-川淵氏のこの認識は正しい。
 また一連の騒動の中での武藤敏郎事務総長の対応、記者からの質問に対する受け答えはきわめてまともで正当である。近視眼的な森会長より公明正大なバランス感覚に長(た)けている。もちろん事業推進力、他者への影響力は政治家森氏の独壇場であろうが。しかし事務総長としてはふさわしい、人を得た人事である。


それに引き換え、いつものことながら勝手に先走る報道マスコミの軽さ・無責任さがひときわ目に付く。自局の視聴率を上げるためにだけ、あわよくば失言を引き出して特ダネを得るために、関係者に何度もイージーに誘うような質問を投げかける報道関係者、こうした性向にはなんとなく承服しかねるものがある。


-------------
本稿はなるべく関係者の神経を逆撫でしないよう恐る恐る投稿しようと思っていたが、書きかけて一日にして、ここに書いた方向に事態は動いた。多くの人が同じような思いを抱いたのだ。
 本稿の内容は、実情を全く知らない人間が勝手に推測・推量して書いたところがあり、誤った内容が含まれている可能性があります。



-------------
注1)


注2)

×

非ログインユーザーとして返信する