zepeのブログ

いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

刑事罰導入の是非が問題になっているコロナ特別措置法・感染症法。良法となるも悪法となるも運用する為政者の器(うつわ)次第。

新型インフルエンザ対策特別措置法と感染症法が成立に。感染対策の有効性を高めるために、ある程度の強制力の導入を整備する。
 当初の刑事罰、刑事に引っ立てられる、から、金銭的な制裁で前科はつかない行政罰の過料に変更ということだ。中国のような国家による強制装置的なイメージは少なく、良いかもしれない。


刑事罰導入の是非という問題もさることながら、法律は整備したものの、法律では律しきれない問題、本当のところはそちらのほうがより大きい課題かもしれない。今(令和3年1月)の状況にいるからこそ痛切に感ずる、時の指導者の能力次第だということである。


問題は大きく二つ。
一つは国あるいは為政者の責任に対する罰則あるいは義務が定められていない。
二つ目は運用にあたって感染症法と特別措置法のどちらを優先するか、即ち、患者の隔離・入院・治療と、飲食店の営業規制のどちらに優先的に取組むかという問題である。


パンデミック感染対策の基本原則は、できるだけ初動段階で手を打つ。スピード・時間が勝負ということである。


こうした法律を制定する際の常として、国民に対する罰則規定はあっても、国の責任に対する罰則は考えられていない。しかし実際の感染症抑制の効果はというと、国民の努力とともに、政府の有能さ-適切に運用されるかどうか-が問題になる。
 これから感染増進、感染爆発になりそうだ、そろそろ危ないと判断してただちに手を打つことに踏み切る指導者なら非常に有効な法律になるだろう。
 初動段階で手を打つ。スピード感をもって、全員検査し無自覚・無症状~中軽症感染者の段階で隔離・治療する-この段階で運用すれば、刑罰者あるいは過料を課される人間は少なくて済むだろう。
 しかしコロナと経済を両立させると言っていつまでも放置し、感染爆発が起きてからやむを得ず運用するようなら、刑罰が必要な人間はごまんと出るだろう。


法律を守らない人間が悪いのか、そうした事態を招いた為政者が悪いのか。通常、後者はまな板に載せられることはなく、罰せられることはない。
 もし無能な指導者の下で運用されれば天下の悪法になり、すぐれた理解力・判断力のある指導者が用いれば違反者も少なく強力な手段になるだろう。時の指導者の資質次第で良法にも悪法にもなる。


次に、患者の隔離・入院・治療と飲食店の営業時間規制では、どちらを優先すべきか。
 日本では前者の問題、無自覚・無症状~中軽症感染者を放置したまま、隔離・治療をおろそかにし、主として後者の問題にかかずりあってきた。しかしより初動段階の前者を徹底すれば、市中の主たる感染源となる無自覚・無症状~中軽症感染者はわずかになり、後者の飲食店の営業規制など実施する必要は無くなる。
 また前者は感染源そのものを無くする直接的効果のある対策なのに対し、後者はあくまで接触の機会を減らしてこれ以上の感染者の増加を阻止する間接的・疫学的手法で、病因そのものを叩く直接的手法ではないから、効果はあるが限定的である。
 いま前者をあいまいにしたまま放置しているから、後者の飲食店の営業時間規制が問題になる。規制して少しは効果が出ても、解除するとまたぶり返し、効果が有ったり無かったりはっきりしないまま、いつまでも感染は終熄しない。これに罰則の網をかけても店舗営業者は困るだけで迷惑になるだけである。


為政者はあくまで前者に努めて意を払うべきである。
 こうしたことは法律には書かれないが、運用時の心得としてなんらかの形にしたほうがよい。菅首相は前者を放置したまま後者のみにこだわり、結局コロナは終熄せず感染拡大し、結果として経済は多大な損失を受けている。


いずれにせよ、菅政権の下で法律は整備した。後は社会システムの整備である。
(1)発熱外来あるいは検査
(2)無自覚・無症状~中軽症感染者用1万人規模の臨時病院建設
(3)既存病院の一部を重症患者専用病院(コロナ専用病院)に


(1)は民間で大量簡易迅速検査が可能になった。これでスクリーニングして医師による診療数を少なくし、感染判定された者だけ(2)に進む。
 特に(2)のキャパシティを大きくし、感染判定最初の段階の患者を一手に受入れる。その中で重症者は(3)に移る。
 菅首相がこれらを実施するなら、大宰相という感じになるのだが、恐らくそういうことはあるまい。

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