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安倍首相退任後の課題(2)。コロナと経済に劣らず重要なのが、国際社会での日本の存在感-後継候補者の外交力は?

コロナと経済の国内問題に劣らず重要なのが、国際社会での日本の存在感、外交である。
 従来、日本の政治家は内向きに終始し、国際社会では二番手以下に付いて本来の役割を果たさず、それで自足していた。安倍首相は世界における日本の果たすべき役割、全視野的観点に立つ国際外交を行った。そのため、中国、韓国、北朝鮮からは嫌われた。これは従来の首相のような協調と言う聞こえが良い譲歩をせず、彼らの意図に妥協しなかったからである。


大政治家の二世、三世政治家はともすれば親から選挙区を受け継ぎ、苦労せず代議士になれるなどと批判すべきところも多いが、安倍首相は岸信介・佐藤栄作元首相、安倍晋太郎元外相という政治家一家から輩出した毛並みの良い政治家ならではの、欧米指導者と対等に渡り合える実力者である。
 一代で政治家になる党人政治家によっては国内政治家に止まり、国際社会でのリーダーシップは不得手とする場合がある。


大政治家の二世、三世政治家にはもう一人、日ソ国交回復を行った鳩山一郎元首相の孫の鳩山由紀夫元首相がいるが、この人も変な人である。韓国の慰安婦問題や中国の尖閣列島の主張に同調するかのように日本の国益を損なう発言をし、中国の一帯一路政策の主幹機関であるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の顧問に就任している。
 氏は概ね現在の国の施策とは逆の、政府の意向を損ねる行動をする。シャーシャーと殊更に時の為政者の神経を逆撫でするように行動するようだ。
 親譲りの資産があり、選挙地盤もゆらぎないという上だからこそ取れる行動だが、これも超一流の政治家一家の出身だから取れる姿勢で、一代で代議士になった人間にはできない芸当だ。そんなことをしていたら、代議士の地位からたちまち滑落してしまうからだ。
 その行動は、概ね大舞台での日本の方向性についてであり、政府の取る立場とは真逆のある意味で誰もやらないことをやる。
 外交は将来のあらゆる可能性に向けて、時代の趨勢とは別に布石を打っておく必要がある。それは国が行う事業に限らない(注1)。氏は日本外交における空白域を埋めるというもう一つの役割を果たしているようにも見える。変な人--大政治家の家系ならではの視点での活動である。


安倍首相は常に対話の窓は閉ざさず、しかし中国の力による侵略的な対外膨張政策には妥協しなかった。中国の力による膨張政策のガンとなり、そのために嫌われこきおろされた。
 中国、韓国、北朝鮮は首相交代を機に関係改善と言うだろう。彼らはしかし表向きは良好な関係を謳いセレモニーは華やかに行うが、実際の現場ではこれまで通り自己の利害をごり押しし協定を守ろうとはしないだろう。これがその文化に基づく伝統的外交手法である。
 後継首相の方針によっては妙に妥協して一時的なパワーの空白が生じたりすれば、中国は一気に影響圏を膨張させるだろう。
 日本の指導者には友好とともに、緊張と一定のスタンスを保つ姿勢が必要だ。引続き中国から嫌われこきおろされることを厭わぬ政治姿勢と信念。場合によっては野党や国民の一部から批判される対外姿勢。これが力量ある日本の後継首相としてふさわしい。


この観点からすれば後継候補は河野防衛相・元外相、次いで岸田元外相、石破元防衛相となるが...。
 河野氏の外交姿勢は安倍首相と通ずるところがあるように見える。河野氏も首相にならず急逝した河野一郎元建設大臣に連なる大政治家の家系の二世、三世政治家である。
 石破氏は習近平国家主席の国賓招聘取り止めという意見に異を唱えているが...。
 菅氏の外交力は未知数だが、安倍首相並みの積極的平和主義で外交に注力するなら評価は変わるか。


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(注1)例えば明治時代に南極探検を行い到達地を大和雪原と名付けて帰還した白瀬中尉の壮挙は自力で民間資金を掻き集め行った事業である。国は支援せず冷淡であったが、今日昭和基地での越冬隊による学術活動につながっている。国の姿勢は深謀遠慮に欠けると言うべきである。これが同じ小さな島国でありながら、対外探検を積極的に奨励し、その後の「日の没することのない大英帝国」の興隆と、今日の世界共通語としての英語の地位の確立をもたらした英国との違いである。
 今一つ、7月にインド洋の島国モーリシャス沖で起きた日本所有の貨物船の座礁、重油流出事故。貴重な海洋自然環境が危機に瀕し、仏政府は重油回収に積極的に支援しているというのに、日本政府は民間のことだからと支援に消極的で、国際社会から顰蹙を買っている。日本は支援金募集とか国が行わないなら、民間で少しでも行ってもよいのでは。

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