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いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

失脚したのは個人崇拝と恐怖による強権支配をしなかったため:プーチンとは真逆のフルシチョフとゴルバチョフ-人間の顔をした社会主義:ゴルバチョフ氏逝く(4)

*)政変に遭う外遊ソ連指導者
 ソ連・ロシアではよく外遊する指導者はクーデターや政変に遭(あ)う確率が高い。
リベラル志向雪解け・デタントソ連指導者はことにそうである。彼らは一般に西側世界で評判が良い。国外で派手に振る舞っているうちに、国内では保守派が根強く巣喰っており足元をすくわれる。
 スターリンは外遊したことがあっただろうか。あまり記憶が無い。ヤルタ会談は一番すぐに思い出され海外首脳との会談だが、場所はソ連国内のクリミア(現ウクライナ領ロシア占領地)である。
 ブレジネフはどうだっただろうか。ウィーンあたりには行ったかもしれない。いずれにせよ、ソ連・東欧圏の外には、数える程度だろう。


中国の毛沢東は一度、国共内戦に勝利し中華人民共和国成立を宣言した後、モスクワに行きスターリンと会った。もう一度、モスクワに行ったことがあるか。
 鄧小平はどうか。鄧小平や周恩来はもともと若い頃海外留学し、周恩来は日本に滞在したこともあり、さらに二人は欧州遊学し、鄧小平はフランスで共産党に入党しているから、外遊は慣れたものだろう。毛沢東死後、首相になり改革開放を主導し、産業育成しようとしたから海外にはよく行き、日本にも来て昭和天皇と会っている。ただし中国を留守にし米国訪問中、大統領と会談している時に、当時の親中派カンボジア(大量虐殺で悪名高いポルポト)政権下の首都プノンペンは、親ソ派ベトナム軍に攻略され陥落している。当時、中ソは厳しく対立しており、毛沢東存命中、鄧小平は中ソ対立の中国側理論闘争の責任者のような地位にあった。


さて今はソ連ではなく、ロシアになっているが、そのプーチンはどうか。プーチンはロシアになってからだから、よく外遊している。
 ただウクライナ侵攻が始まってからは、旧ソ連やイランなど自国の勢力圏内か、それに近い地域だけである。今月(令和4年11月)インドネシアで開かれるG20首脳会議には早くから参加すると言っているが、果たして参加するかまだわからないと見ていることは先に述べた[1]。


*)二人ともモスクワ不在中にクーデター・失脚
 フルシチョフとゴルバチョフは二人とも、モスクワ不在中に政変・クーデターで失脚した。召喚ないしはクーデターが行われたのは二人ともロシア南部の黒海沿岸に休養等に行ってモスクワを留守にしている間である。雪解け・デタント自由化政策に不満を持つ保守派・軍部が政変・クーデターを起こした。フルシチョフは軍用機で召喚された。ゴルバチョフはクリミアの別荘で軟禁された。


*)失脚したのは、二人とも個人崇拝強制や恐怖による人民支配をしなかったため
 失脚を免れるためには、個人崇拝強制、定期的な粛清を行い、人民・共産党員・自分に楯突(たてつ)く有力な競争相手を恐怖をもって震え上がらせ、彼らの声望と影響力・自信が大きくならないうちに普段からつぶしておいて、権力を取り上げ自分のもとに集中しておけばよかったのである-現在のプーチンが行っているように。
 プーチンはKGB出身だから恐怖に訴える手法には熟知しており、心理的洞察にも長けているのだろう。部下や対立派、進歩的市民を徐々に締め上げ、反対・反抗できないようにし権力を自分に集中していった。
 本年(令和4年)9月以降、ウクライナの反撃が功を奏し、占領された東部・南部は一部奪還されつつある。ロシア軍が占領地を放棄し敗退・後退するにつれ、プーチンはそのたびごとに司令官の首をすげ替え、次から次へと新たな軍人を任命している。
 マスコミの多くは、プーチンが自分の責任を軍人に負わせ、責任を回避するためだと説明しているが、筆者はそう思わない。こうしたやり方はプーチンが普段から行っていることで、ここに来て新しく始めたということではない。ただ立て続けに戦線から敗退したので、頻繁に起きたまでである。
 周囲を震え上がらせ、心理的に恐れさせることによって、ひれ伏すようにし向けて、次第に権力を集中してきたのであり、現在の事態でももちろんそのようにして権力を維持する必要がある。もしここに来て例外的に寛恕的になって手を緩めたら、彼の権力基盤は綻び(ほころび)を来たすだろう。


スターリンはほぼ定期的に粛清を実行し、時に国家に忠誠を誓う共産党員をも大量に処刑した。政敵と市民を震え上がらせ、真面目な市民を間引いていく。こうして日常茶飯事、市民に自身のすぐ近くで引っ立てられていく犠牲者を目にさせることによって震え上がらせ隷従させることによって、長期間独裁権力を維持安泰なものとした。,
 フルシチョフは自分一人で勝手に踊っており、スターリンやプーチンのように、周囲を恐怖に陥(おとしい)れて萎縮させ勢力を伸ばさないようにするなど、たぶんしなかっただろう。


[1]

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