沖縄感染爆発。政府は病床確保ばかり努力してもだめだ-感染源を断たないと。米軍基地との出入りは原則空港並み検査。有症状だけでなく無症状感染者も含め全員隔離し市中感染源密度を下げよ。臨時・仮設病院設営も有意義。
*)オミクロン株感染者急増
沖縄で新規感染者600人超に急増。ほとんどがオミクロン株。恐るべき感染拡大・爆発力だ。
同じく米軍基地のある広島県岩国市周辺でも同様な事態が起きている。神奈川県横須賀市、青森県三沢市など全国の米軍基地のある地域はチェックする必要があるだろう。
また東京も油断ならぬ増加の仕方である。
*)病床確保ばかり努力してもだめだ。感染源を断たないと。
政府は病床確保ばかり心配して対策を緩め、自治体の判断で自宅療養を認めるとした(注1)。原則入院だった無症状~軽症者を放置し感染増加するままに任せ、病院は重症者対応にかかりきりになる。いまはそれでよいだろう。が、いずれ重症化する患者が続出し、医療を一層逼迫させ、間違いなく感染拡大・爆発で手に負えなくなるだろう。わかりきったことである。
これが尾身氏以来の疫学専門家が主導するコロナ対策分科会の、感染源には関知せず、感染伝播プロセスの最末端ばかり扱う手法の必然的な成行である。
*)閾値と感染爆発
10名の会食中で、1名の無症状感染者がいたとする。その時の感染確率はどのくらいだろうか。マスク着用・飛沫防止アクリルパネル設置・店内空気循環空調が備わり、かつ気をつけていれば感染者が出ないかもしれない。
2人いればどうだろう。そろそろ感染者が出るか出ないかすれすれだろう。
3名いればどうか。これはまず間違いなく全員近くが感染するのではなかろうか。
このように密度が一定レベルの閾値(いきち、しきいち、threshold)に達すれば、いままで潜伏して可視化できなかった現象(病状・感染者)が顕在化し、爆発的に増加するようになる。これは反応速度論で当然の帰結である。
市中には既にウィルスをばらまき、感染を拡大させている無症状感染者(感染元凶)が潜在している。これがそろそろ感染爆発を起こす感染源密度(閾値)に達しつつあるのだろう。
*)オミクロン株はとりわけ感染源制御が重要
今度のオミクロン株はアルファ株、デルタ株以上に感染力が強いようだ。
感染源のコントロールが今まで以上に重要になる。
ところが、分科会やTVニュースステーションに出て来る専門家を見よ。
無症状感染者、軽症者だから自宅療養でよいと言う。彼らがウィルスを家庭内、次いで市中で不特定多数にばらまき感染拡大させる主因(感染源元凶)となっているという視点には決定的に欠けている。視野狭窄と言うべきである。
*)感染者はワクチン未接種か、ブレークスルーか
沖縄での今回の感染者がワクチン未接種なのか、接種済のブレークスルーなのか、情報はまだ無いようだ。
もし未接種なら、当然全員接種が対策の大前提となる。
ブレークスルーなら日本のワクチン接種計画に影響を及ぼす重大な問題である。
*)感染源のコントロール
(1)米軍基地出入-空港並み検査義務化か、ロックアウトか
最初の感染源ははっきりしている。米軍基地である。この出入りを空港並みにチェックしないと、いくら努力しても感染拡大は断ち切れないだろう。
いちいち検査に時間を費やしていれば仕事にならない。相手は米軍だ。あまり日本の統制は効かない。だから適当にしているのだろうが、ことオミクロン株が相手でこの状態ではいつまでたっても解決はできない。
空港並み体制(検査・隔離・入院)にすべきである。しかし数日間も隔離されたら仕事にならないと言うのだろう。
これができないなら、従業員は疫学的手法でロックアウトする。米軍基地内に寝泊まりし基地の外に出ない。あるいは従業員家族の住む地域を限定し、ロックアウト。
これができないなら沖縄県全体と本土との往来をストップするという大がかりなことになる。いくらなんでも無理というなら、是非とも米軍基地出入り時の検査体制を可能にしなければならない。
検査に時間がかかるならば、回数を減らすために、数日間の米軍基地内寝泊まりと出入時の厳重検査を組合せるなど。
(2)市中の感染源
市中には既に相当数の感染源-その多くは無症状感染者、しかも比較的若年層-がいるはずである。市民全員を検査するのが理想的だが、それができないならば、少なくとも感染が明らかになった患者は自宅療養にせず、隔離・収容する。
それを病床が足りなくなるからできないと言うのである。ただしいまできないなら今後もっと逼迫するだろう。
*)臨時病院の設営を実施すべき
可能にするには、まず無症状~軽症感染者を全員専用宿泊施設に隔離、それで足りないなら臨時病院の設営を実施すべきである。
臨時・仮設病院設営は意義がある。一時的な病院開設の経験と能力は日本に必要である。
来たるべき阪神淡路大震災や東日本大震災に匹敵する東南海地震や首都直下型地震に備えて、また準戦時状態の勃発に備えて。
自治体でできなければ、自衛隊が台風や地震・津波を考慮し適切な場所に設置する。
*)東京も大阪も自宅療養可へ。いずれ他自治体も右ならえか。
いま東京も大阪も自宅療養可体制に移行すると言っている。
この分科会主導の対応策は、自治体にとって当座の問題を回避するには好都合なのだ。易きに付くのは、自治体・事務官僚の習性。今後、右倣え(みぎならえ)の自治体が続出するのは目に見えている。これが更なる悪転加速の要因となる。
*)過去と同じ過ちの道でないことを祈念する
前回のデルタ株の時に全く同じ対応を行った(注2)。即ち、デルタ株患者は原則入院であったものを、自治体の要請に応じ深く考えることもなく、厚労省は自宅療養でもよいと規則を緩めイージーに許可した。その時から感染が拡大し、大阪次いで東京での感染爆発となって医療逼迫・崩壊に至った。尾身氏はこの過程で国民の危機意識の共有が足りないから効果が上がらないと言って、緊急事態を繰返したのである。
方針転換した時は、まさにデルタ株感染の初動段階だった。本来であれば、この段階で無理をしてでも対策を緩めず感染制圧に注力すべきであった。
同じことをまた繰返すのだろうか。今回は新規承認した飲み薬を与えるということでもある。その効き目が十分にあり、杞憂であると願ってはいるが、自分には誤った方向に進んでいるように思えてならない。
かく言うも、犬の遠吠えのようなものだが..。
(注1)
(注2)