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プーチンはG20首脳会議に出席するか-ウクライナの戦線後背地クリミア内深部攻撃(4)

*)ウクライナの地政学的安全性
 たとえ停戦が実現し平和が戻ったとしても、ウクライナの国土の大部分はユーラシア大陸の中の大平原であり、地政学的に外敵に対して防衛するのが非常に難しい地勢にある。
 安全保障を講じたとしてもロシアがその気になれば、いつでもミサイルを打込み、戦車部隊が侵入して国土を蹂躙することが可能である。
 こうしたロシアのやり方をバルト三国、ポーランド、モルドバ、フィンランドなどの周辺小国は過去の経験からよく知っており、独立を勝ち取り民主主義国になってそう経たないのに同じ事態がまた目の前に現出したのである。彼らにとってヒトゴトではなく、長年恐怖心と危機意識を持ち続けている。だからこそ、ウクライナ戦の勝敗の帰趨は、次は我が事と、ただちに影響を及ぼす大事なのである。


*)プーチンはG20首脳会議に出席するか
 侵攻開始以来、ロシア国民のプーチン支持率は著しく高まっているが、もし誰にでも明らかな局地的敗北を喫したり、人知れず帰郷する戦死者の数が増加し、近親者に厭戦気分が蔓延するようになれば、政治的生命が危機に瀕する事態になるかもしれない。


侵攻を開始してから外遊したのは、タジキスタンなど中央アジア諸国とイランだけである。いずれもロシア周辺の衛星国もどきの国か、反米姿勢で利害が一致する国で、ロシアとは陸続きである。
 11月にインドネシアで開催されるG20首脳会議に、ロシア政府当局は早くからプーチン大統領は出席すると言っている。インドネシアのジョコ大統領は、中国・習近平主席も出席の見通しとし、ウクライナ・ゼレンスキー大統領も招聘することをもくろんでいる。


しかし筆者はプーチン大統領が本当に出席するのかまだわからないと見る。
 人道に対する罪で、どこかの国、あるいはNPOなどが告発したり、戦況次第でそれまでに、あるいは会議中に、誰にでも一目瞭然の敗北を喫したりすれば、政治的生命が危うくなるかもしれない-モスクワを留守にしている場合ではない。これはあくまで仮定の話だが、そうしたことが起こり得る可能性が無いとは言えない。そうした事態が起これば、習近平の今後にも影響が及ぶだろう。


*)ウクライナのクリミア奪回目標
 ウクライナは、今後クリミア奪回のための目標として、1)プーチンが建設した、最奥部にマリウポリが位置するアゾフ海の湾口に架かるクリミア大橋、2)マリウポリの陥落により、飛地であったクリミア半島がロシア本国と地続きになり、近い将来直結するであろう鉄道や高速道路、これらを攻撃目標とする可能性がある。
 こうしたプーチンにとって自己の功績として国民にアピールした象徴的な事物あるいは領土を攻撃することは、さらに本格的な戦争に入り込む可能性をもたらすと危惧する意見もある。
 一方、こうした隠しようも無い苦戦や敗戦の情報が国民に明らかになれば、プーチンの政治的生命が危うくなる可能性もある。ただ軍部は負けや手落ちを認めることは、自分達の存立基盤を否定することにもなるから、プーチンとは利害が一致し、あくまで支持し続けるだろう。

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