zepeのブログ

いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

第七波:新規感染者がこれほど急激に増加するのはなぜか-感染孵卵器・増倍作用の自宅療養を止めよ

*)新規感染者の年代別内訳からわかること
 今の第七波では新規感染者増加曲線が突然大きく立上ったが、その年代別内訳は最初から小児・高齢者が主要最多者であった。若壮年層はそれほど多くはなかった。


この事実は以下のことを意味する。
(1)現在は感染ステージが初動期ではなく、既に感染伝播が相当進んだ段階であり、表面に現れた統計の背後には、市中に若壮年層無症状感染者が相当程度の密度で満ち溢れている状況にある。


(2)今度のコロナは壮健者では感染しても発症しにくい、比較的軽症あるいは発症しないままでいることが多い-ウィルスはオミクロン株の変異株BA5にかなり置き換わったとされている。


(3)自宅療養によって感染が増倍されている
 自宅療養は自動的に濃厚接触者を作り出す。
外見上健常者と変わりない若壮年無症状感染者が家庭に戻ってきてウィルスを撒き散らすと、基礎体力に劣り抵抗力の低い高齢者、それに小児は容易に感染し発症する。同じ事態は各家庭で起き、次いで高齢者施設さらに幼稚園・学校での集団感染を引き起こしていくに至る。


(4)小児にも感染しやすい。従って幼稚園等で小児間感染も多く発生する。


*)なぜこれほど新規感染者が増加するのか
 なぜこんなに新規感染者増加するのか-対応を自宅療養にしているからである。


いつの時代でも若壮年層無症状感染者が、感染拡大に最も責任がある主要伝達者である。
幼児・学童・高齢者から若壮年層に感染するのではない。ほとんどは若壮年層から幼児・高齢者にうつるのである。
 どこでうつるのか-その多くは家庭内である。無自覚・無認識にせよ、自覚はしているが無症状だからと医師に言われ自宅療養しているにせよ、である。
 感染ステージが進むと幼児・学童から若壮年者への感染も起きてくるが主要頻度ではない。
 自宅待機・療養は感染拡大の孵卵器であり増倍器として働く。


*)プロ野球・大相撲・サッカー等で相次ぐ集団感染。彼らは自宅に帰宅してどうなるか。
 プロ野球チームの中で集団感染があちこちのチームで起きている。これを社会あるいは市中での一次感染と呼べば、
 どこで感染したのか。練習中・稽古中、食堂での食事中、ミーティング中、合宿中、試合中、あるいは休日における飲酒・交際・交流など。
 彼らは丈夫で体力・抵抗力があり、感染しても無自覚・無症状のケースが多い。
一方、肺・気管支からの吐息量・流速ともに大きい。
 家庭に帰って自宅で休息し、家族とともに団らんする。すると家族内感染を引き起こし、高齢者、幼児・学童への二次感染があり得るだろう。


*)初動対応を重視しコロナ対策の優良県だった鳥取・島根で感染急増したのはなぜか
 今回第七波では沖縄とともに、鳥取県・島根県で感染増加が先行した。
両県はこれまで感染者数が少ないコロナ対策優良県であった。それはパンデミック対策の原則:初動対応を徹底したからである。
 しかし今回全国に先駆けて感染拡大・急増が起きた。なぜか。
調べていないから、以下はあくまで筆者の推測(想像)であり、間違っているかもしれないが、
 従来はコロナ患者は入院が原則だった。そこでは感染源は社会から隔離される。
しかし現在は、今年の正月明けに尾身氏ほか分科会有志が岸田首相に面会して提案して以来、自宅療養になった。原則入院から、第一選択肢は自宅待機・療養に。この違いが影響しているのではないか。


*)感染拡大は常に若壮年層無症状感染者から始まる
 いつの時代でも若壮年層が感染の主要伝達・拡大責任者である。
理由は?


(1)彼らは体力・抵抗力が強く、感染しても発症することなく、外見上健常者と変わりない。本人も周囲も気付かないうちに、ウィルスを撒き散らし、感染を拡大する。


(2)人間社会を担う現役の活動主体であり、仕事・学業・スポーツ・遊びのいずれにおいても活動はダイナミックで激しく、活動範囲も広い。組織・グループ・団体活動で常に多くの人と接触している。従って他人との接触回数・範囲が大きく,影響が大きい。


(3)若者・営業職・激しいスポーツ励行など声量が大きく、また吐息の量・流速ともに大きい。従って肺から排出される吐気・飛沫・エアロゾル・エアブラストの到達する範囲も距離も大きい。
 酒場に行くとわかるだろう。大声で盛り上がっているのは大抵若者のグループである。気密性の高い空間であれば、エアロゾルが気中に浮遊・蔓延し、ほぼ確実に近い確率で感染が起きクラスター発生になるだろう。


無自覚・無症状感染者が感染拡大を起こす原因主体である、


*)新規感染者の年代別内訳によって感染のステージと病原体(ウィルス)の性格がわかる
(1)第七波:オミクロンBA5株
 現在の第七波については既に上述した。最初から小児・高齢者が最多ということは、若壮年層に感染が無症状のまま行き渡り、世代間感染へと感染ステージがかなり進んだ段階にあることを意味する。


(2)アルファ株
 第一波最初のアルファ型では、若壮年層は概ね無症状のままで、感染弱者である高齢者・基礎疾患者・既往重症者が最初に発症する。そのため、統計上では高齢者らが最多として顕れ、若壮年層は見掛け上、新規感染者には現れて来ず、少ないということになった。
 ごく初期では昼カラオケなどで高齢者から高齢者へという高齢者が感染伝播主体となる場合もあった。その後この種のケースは使用中止措置により無くなり、ほぼすべての初動感染主体は若壮年層のみとなった。


(3)デルタ株
 デルタ株では、重症化しやすく初期の感染伝播主体である若壮年層も高い確率で発症するために、若年層患者が新規感染者の最多数になった。この変異株になって感染拡大の主役が若壮年層であるという実態が目に見える形となった。


(4)オミクロン株
 オミクロン株では潜伏期間が短くすぐ発症し伝染性も高いため、比較的症状は軽いが主たる感染担い手の若年層がすぐ多数者になった。その後コロナ対策分科会がそれまでの原則入院から自宅療養にした結果、家庭内での世代間感染が起き、高齢者に加えてそれまで比較的感染しにくいとされてきた幼児・学童にも感染が広まり、感染中期以降は幼児・学童および高齢者が最多数を占めるようになった。


(5)第六波蔓延防止措置解除明け
 本年(令和4年)3月下旬、新規感染者は十分に減ったとして蔓延防止等重点措置が解除されたが、その直後、また増加に転じた。その年代別内訳はそれまでの幼児・学童および高齢者が最多数から若年層最多になった。なぜか。


これはそれまでの初動ステージ(若壮年層無症状感染者による感染伝播拡大)から最盛期のステージ(世代間感染拡大)に進行後、漸次減少に転じていた感染サイクルがリセットされ、新しくまた市中感染による若壮年層感染が立上ったことを意味する。


多くの国民は新規感染者数が減ったことを病気(ウィルス)の流行が終わったと勘違いし、マスクを外して外食店でグループ飲食を始め、特に若年層が大声でビールで興じ合う。桜見の季節では酒場でグループでマスクを着けずに密着して乾杯と大騒ぎをしていままで我慢していた憂さを晴らす。
 これらはニュースステーションなどで放映された映像である。こうして感染は若壮年層間で新たに再始動する。新たな初動段階である。オミクロン株では若壮年層でもすぐ発症するから、彼らが最多の年代別内訳となって現れた。


マスクを装着した条件下での新規感染者増加曲線と、マスク無しの条件下での曲線は異なる。新規感染者数が減ったのはマスク装着の条件が前提であって、マスクを外した場合はまた違う。それを多くの国民は感染は終わった、パンデミックを克服した、もう大丈夫だ、フリーだと勘違いしたのである。


*)感染(パンデミック)に強い社会とは-若者が強い感染抵抗力を持つ社会である
 いつの時代でも社会活動の中堅層である若壮年層が最も強力で主要な感染伝播・拡大主体である。
 彼らを制御することが、感染をコントロールできるレベルに抑えられるか、感染拡大・爆発から医療逼迫・崩壊に至り制御不能になるかの分かれ目である。
 若壮年層世代に強い感染抵抗力を付与しておく、普段から-医療業務の逼迫しない通常時から-積極的に意図的に抵抗力を付与しておくことが効果的である。


重症化しやすい高齢者・基礎疾患者・既往重症者にワクチン接種を優先するのは当然であるが、逆説的な言い方になるが、むしろ若壮年層を優先的にワクチン接種しておけば、彼らの感染確率は低くなり、主要感染伝達者が減るから全体として新規感染者数は低下し、結果としてそれらの中から上がってくる重症者数も低下し、医療逼迫の程度は低減することになる。
 この意味で若年層にできるだけ早期に高い割合でワクチン接種する、即ち社会の若壮年層に集団免疫を施しておくことが、パンデミック予防・重症化しにくい耐性を付与するのに重要ということになる。


*)大規模臨時・仮設病院(野戦病院)の積極活用
 仮設病院(野戦病院)を設置はしてみたものの十分活用されずに終わったという事例が多いようだ。またホテル等の一時隔離施設を抑えてはいたものの稼働率は低調だなどと報じられてもいる。
 これは分科会専門家の言うがまま自宅療養しか頭に無いために、後藤茂之厚生労働大臣や地方自治体・地域の医師会が新しいことをする発想が無い、敢えて乗り出そうとしない、効果の是非がわからないから自宅療養にしておけばよいと安易に走るからだ。


政府はその意義を認識し、積極活用するよう指示するべきである。
 そうしないと保健所にはその意義がわからないし、その活用方法がわからない。お役所だから、自分で考え自主的に工夫するということは無い。政府が言わないと動かない。
 自治体および地域の日本医師会支部と、必要なら民間企業も含め、自宅療養にせずに、どのように患者を廻して野戦病院を活用し、全体の治療インフラを圧迫しないよう効果的に運用するか、協議し調整する必要がある。
 政府はこれらを指示し積極活用を促すべきである。
状況に応じ伸縮自在な臨時・仮設病院(野戦病院)の開設は、パンデミック・地震・大災害・安全保障危機事態における日本に必要な対応能力である。


*)行動制限よりも自宅療養を止めることが最短かつ本質的方針
 行動制限よりも感染孵卵器・増倍器の作用をする自宅療養を止めよ。
できるだけ隔離用宿泊施設、臨時・仮設病院(野戦病院)、あるいは病院の軽症者用病床に隔離・収容・治療する。
 このようにしたからと言って感染が無くなる訳ではない。新規感染者増加曲線は依然として同様なカーブとなって現れる。しかしその山の高さ(新規感染者数)は相当程度低くなる。医療逼迫は起きたとしても、その深刻さはより軽減されるだろう。もちろん重症者数も全体の感染者数(母集団)も少なくなるから減少する。


これは尾身氏の重症者用に病床を空けておくと言って、なにもかも自宅療養にして新規感染者を増倍させ、結果として重症者が対応不可能なくらいに増加し、空けておくと言って確保しておいた病床数をはるかに上回る重症患者数になって医療逼迫・崩壊の事態を招く手法とは真逆の戦略である。


*)一時緩めた規制体制をまた厳しくするのは至難の技(わざ)
 しかし今までの経緯から言って、認識転換・方針転換は難しいだろう。
マスコミ・政府・野党が尾身氏をすべて正しいかのように持ち上げるのは、自分で思考することを停止し他人の意見を丸呑みにして受け売りするだけの姿勢に終始することになる点で問題がある。


もし方針転換するようなことがあれば、知る人ぞ知る、内閣担当スタッフの本質的理解力・柔軟な対応力に瞠目することだろう、そして岸田首相を改めて再評価することになるだろう。
 しかしながら、そうしたドラスティックな決断は残念ながらまず期待できそうに無いだろう。


*)行動制限よりも自宅療養を止めよ
 急速な新規感染者の増加の根源は自宅療養である。
行動制限などに走っても意味が無い。的外れである。尾身会長が国民の自粛の努力が足りないから感染が収まらないのだ、一層行動制限せよと言う事態になるだけである。


政府は行動制限よりも感染増倍の一番の原因である自宅療養を止めよ。これを実現するために、必要なインフラ整備、組織改編、民間活力導入をためらうことなく推進するべきである。

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