zepeのブログ

いつも株を買っては損を抱え込む長期低迷投資家

鴻海の日産買収は一考以上に値する

長期低迷

*)日産の経営危機と鴻海の買収案
 日産は赤字決算を発表し、経営難に陥った。9千人解雇が必要とされる。
そうした中、台湾・鴻海精密工業による買収案の情報が流れ、日産はこれを回避するために、ホンダとの統合案を模索した。これでひと安心と思いきや、ホンダ主導の買収案を突き付けられて、日産は拒否し、この案は一旦、潰(つい)えてしまった。
 最近では、ホンダ・三菱自動車を含めた三者連合との協業、(あるいは日産無しにホンダとの協業?)という提案も出されてきている。
 ほかにも菅義偉元首相らが取り計らって、テスラが出資との案も噂として流れたりしている。


*)電気自動車のスマホ化
 電気自動車(EV)やSNS・スマホの技術進展、AI技術の急成長という現時点の状況下にあって、鴻海はこれまでの半導体事業から自動車産業に参入し、自社の強みを活かした事業の立上げを企図している。
 EVの今後の開発モデルプランとして、電気自動車のスマホ一体化等も考えられ、こうした方向への開発の可能性も期待される。


既に中国の自動車企業は、未来型空間を織り込んだ新車の発表など進めている。
 それに比べ、日本は一部、非自動車企業であるソニーが新しいコンセプトカーを発表しているが、自動車企業自体は、技術革新競争に追随できず、いまだこれといった次世代モデルを生み出し得ない状況にある。
 科学技術立国と言う旗印やプライドは、どこに行ったのだろう。日本の技術力・競争力の地盤低下は明らかである。


従来からの日本企業の体質-世界初のことはやろうとせず、まずは周囲の状況を眺め、それからでも遅くはない-という、リスクを避ける無難さを優先する保守的体質の結果である。ベンチャー事業に挑戦する企業活動よいう点で、米国や中国と比較すると、その違いは歴然としている。今日、半導体やスマホなど技術の塊(かたまり)とも言うべき事業分野で、リードするどころか、二流国に陥っている主因である。


*)鴻海の日本企業以外との連携の可能性
 鴻海にとって自動車産業参入の協業連携あるいはM&Aの相手としては、様々な可能性があり得る。


もし日本企業に断られた場合、他国企業で候補として考えられるのは、
 中国本土
 韓国
 米国
 ドイツ・フランスなど欧州勢
などである。


鴻海としては、地政学的リスク、トランプ大統領の関税縛りの回避、背後の市場の大きさ
などから、中国本土、韓国の可能性は除かれよう。米国か欧州ということになるだろう。
 米国テスラやGE、フォードなどは魅力的かもしれないが、買収という訳にはいかない。協業か協約程度だろうが、自分達のしたいようにできる訳ではない。主ではなく、どちらかと言えば、従であり、うまみは小さい。
 ドイツのBMWやフォルクスワーゲン(VW)は魅力はあるが、米国勢と同様、自分達は主導権を取れない。また彼らの主要市場は中国本土であり、習近平中国に近過ぎて自由な発展は制約を受ける。。
 フランス・ルノーほかは、買収などあり得ず、政府が一部権益を所有する規約があり、好ましくない。ゴーン元会長の時の日産は、マクロン大統領らフランス政府の傘下に置こうとするアプローチが強かった。また協調性という点でも開発プロジェクトを共にするには、気懸かりである。
 ほかに英国・スウェーデン・イタリアがあるが、市場の将来性が世界の本流からはやや偏位している。


*)日産買収のメリット
 その点、日産は現状、買収可能な状態にある。買収価格が安い。自分達が主導権をもって進められる。販売市場は世界性がある。今でこそEVに逆風が吹き、ハイブリッド車(HEV)を持たないために経営難に陥っているが、技術力は十分に高い。地理的に近く、漢字言語圏であり、これまでにも既にシャープや半導体工場進出などの実績と地盤がある。


*)鴻海が日本以外の企業と連携したら
 日本企業との連携は無く、他国企業との連携に決着した場合、世界一の半導体企業との連携による経済的インパクトの機会は失われる。他国企業とその国の経済力・国力が増進に向かうのに対し、日本の自動車企業と経済の地盤沈下は、さらに加速する可能性がある。
 その差は大きい。自動車業界浮揚の大きなチャンスを一つ失うのは明らかである。


*)日産一社との協業あるいは買収案を進めるべき
 ホンダ・三菱自動車を含めた三者連合との協業という提案も出されてきたが、頭数だけ多く、これでプロジェクトがうまくいくとは思えない。また日産は常に下風に立たされて救済にはならず、お荷物に放置されるだけである。
 ホンダ一社相手では、買収という訳には行かないだろう。自分達が主導権を取ってプロジェクトを好きなように進めるには無理がある。
 開発事業のスピード、効率性の観点から言えば、相手が日産一社のみのほうが、協業・買収事案の成功確率は高いことになるだろう。


*)ルノー保有株
 ルノーとしてはできるだけ高い価格で、日産の保有株を鴻海に買い取ってほしいという噂も流れている。
 鴻海はルノー保有株を完全に買い取るべきである。
ルノーは将来欧州市場への販売の際の拠点になるかもしれないが、会社の成長・発展の時期には、意志決定の迅速性、開発事業の内容・方向性・機密管理、権益や業績利益の分配・高過ぎる株主配当金など、事案が多事にわたる。ルノー企業およびバックにあるフランス政府の介入・干渉を回避する上からも、当面はルノー無しのほうがよい。


*)テスラとの協業の可能性
 菅義偉元首相らの働きかけを通じて、テスラが日産に出資というニュースが、つい最近飛び込んできた。起業家イーロン・マスク氏率いるテスラは、現代世界の最も代表的な新興巨大企業である。そのネームバリューだけでも魅力的である。


もし実現性があれば、一考に値する。
 ただ日産の財政状態の回復に、どれだけ寄与するかはわからない。
パナソニックは、テスラの電気自動車向けの電池生産に社運を賭けて投資したところもあるが、どの程度、投資額を回収できたのか、筆者は知らない。
 日産にとってテスラとの協業の選択は、むしろイーロン・マスク氏の発想と事業におけるカリスマ性に賭けるところが、より大きいだろう。
 彼は、電気自動車・通信・宇宙ほかのビジネスで、誰もが成し得なかった画期的事業を立上げ成功させている。


*)経済的インパクトと安全保障上の観点
 世界最大の半導体企業と日本の自動車企業との協業・買収事案は、
日本の半導体産業推進と自動車産業の再浮揚に寄与するだけではなく、経済界全体への波及効果を通じ、日本の国益にかなうものである。
 さらにこの事案は日本の安全保障、ひいては日台両国の安全保障にとっても重要案件である。単に経済分野だけには留まらない意義がある。
 この点で、テスラとの協業の可能性よりも、優先性の高い事案である。


*)国は、鴻海・日産提携案、あるいは一体化案を支援・推進すべき
 国は(あるいは日台両政府は)、鴻海と日産の協業・買収あるいは統合・一体化の方向に向け、遅滞無く事態を進め、完了するよう、暗に支持・支援を行い、推進すべきである。
 日本の国家的見地からすれば、本件は迅速に成功裡に成立させることが必須の最重要事である。
 協業・連合であろうと、買収による傘下に入るものであろうと、その形態如何は、国家的あるいは経済安保的観点からすれば、二の次の重要度である。
 国家存立の必須案件として、日台一流企業の協業・買収・一体化は何にも増して重要である。


このようなチャンスは、そうあるものではない。以後あり得ないかもしれない。
 下手(へた)に長引いたり、情報が漏れると、トランプ大統領が介入して待ったをかけないとも限らない。
 協業あるいは買収完了後に、テスラとの協業の可能性が、なおあるならば、歓迎すべきである。


経済状況に与えるインパクト、日本および日台両国相互の安全保障上の重要性に鑑み、政府はこの機会を逃さず、本案件を日台両国で全力で進めるべきである。

×

非ログインユーザーとして返信する