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米朝会談物別れ-適切な判断と大統領としての力量を示したトランプ氏

鳴り物入れで開かれた二度目の米朝会談。なにも決めず物別れに終わった。


過去の6カ国会議以来、北朝鮮は米国と一対一で直接交渉を、と長年主張してきた。
核兵器とミサイルを有し、米国と対等に対峙する世界の一流強国というわけである。
米国ほかもちろんこれには応じてこなかった。ところがトランプ大統領は受けて立ったのである。その判断の当否は今後の歴史で評価されることになるだろう。


核兵器の全面廃棄の求めに対し、表面では要求に応ずる姿勢は見せるものの、何にもまして優先して秘密裏に開発し、パキスタンやイランに秘かに輸出しては外貨を獲得し、自国を米国と一対一で対峙する強国と見なす根拠としてきた核兵器とミサイル--これらを北朝鮮が手放すはずがない。


したたかで時に狡猾な外交は、古代朝鮮以来、伝統的に国の存立や最大限の利害を獲得する上で最も重要な手段であり得意とするところであった。


世界の注目を集める場で、掴まえどころがない振舞いで対手を翻弄、籠絡し、実体が伴わないまま華々しいパフォーマンスを見せて最大限の利益を獲得するというのが彼らが最も得意とするところである。


部分的にせよなんらかの合意を一旦取りつければ、彼らは違約である、不十分である、と責めては翻弄し、一方の米国は選択肢と行動を制約され、彼らの最も得意とする術中に陥るだろう。


トランプ氏は足許で自身を揺らがすロシアスキャンダルに同時進行で晒されていたにもかかわらず、北朝鮮が本質的に応ずる意図が無いと見るや、駆け引きの次元に妙に陥ることなく、今後の自由な選択肢を確保する立場を採った。大統領にふさわしい政治的判断と力量である。


日本の拉致被害者の問題に関しては、日本が最重要で最優先に解決すべき事項と言う以上、北朝鮮は決して手放すはずがない。一旦、解放すれば彼らは日本が拒否できない切り札を失ってしまうからだ。彼らの発想と行動は、一貫性や信義といった次元とは無縁である。できるだけ多くの見返りを獲得するために最後まで手放さないだろう。


自力で核兵器を開発してきた現体制である限り、それらを放棄し誠意と信頼性をもって外交交渉に臨む平和国家への決定的な転換はありそうに無い。


決裂の数時間後の夜中に北朝鮮外相が経済封鎖の全面解除を要求したことはないという声明を出したが、これはその内容の真偽が問題なのではない。直接交渉というチャンスを再度引き戻すために投じた手段にほかならない。

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