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NATO東漸の本質=自由を希求する東欧国民の体制選好。将来的にはロシア国内にも自由希求は波及するだろう。-人間の顔をした社会主義:ゴルバチョフ氏逝く(8)

*)今日ほどNATOの価値が高まり渇望される時代は無い
 ゴルバチョフの活躍、東西冷戦終結、ソ連崩壊の頃は、NATOは時代遅れ・もはや意味も関心も持ち得ない過去の遺物と思ったものだ。
 それが今日ほどその価値が有り難がられ、渇望される時代はかって無い。


*)恐怖か?、自由か?-プーチンの言い分と周辺諸民族の自由への希求
 プーチンの言い分は、NATOはこれ以上、東方に拡大しないと言った(約束した?)はずだ。にもかかわらず、東方に拡大し、ロシアの兄弟国であるウクライナまでNATOに加盟しようとしている。
 約束が違う-ロシア・ウクライナ・ベラルーシのスラブ3国は兄弟国であるべきだ、と言ってプーチンは、ロシア・ソ連で伝統的な恐怖により人々を支配する手法で、目標を達成しようとする。それはこれまでプーチンが成功してきた方法である。


*)NATO東漸の本質-自由を希求する東欧国民の体制選好
 しかしNATOは意図的にその影響力を拡げようとしたのではない。東欧の人々は恐怖による支配よりも自由を選んだのである。ソ連・ロシア型全体主義・強権的恐怖支配よりも西欧型自由・民主主義を人々は好んだのである。
 一言で言えば、ソ連・ロシア式支配は人気が無いのである。即ち、人々は経済的に不利になっても自由を希求するのである。その結果がNATOの東方への拡大となって現れた。NATOが好んでロシア国境に迫ったのではない。
 いみじくもタジキスタン首相が-彼は旧共産圏諸国首脳の中では最も古い共産党員ということだが-プーチンに「もはやソ連ではない。経済的な援助はありがたいが、我々少数民族にも民族の誇りがあるということをわかってほしい」と訴えた発言に、このことが如実に現れている。


*)ロシアの市民・若者
 過去何世代にもわたってロシアに抑圧されてきた周辺諸民族は、自由の有難味がわかり自由を希求する。これに対しロシア国民は大国民族の優越性に乗っている限り、そうした有難味は別に感じない。
 多くの国民にとってロシアが戦争に勝つ分にはいいだろう。別にプーチンに反対する理由はない。しかし自分が徴兵され、行きたくもない戦場に駆り出され、別に敵だとも思わない、憎しみも敵愾心も愛国心も感じない相手と戦って、殺したり殺されたりするのはいやである。死にたくない。-これが大方の率直な気持ちではなかろうか。


*)ゴルバチョフの後継者は?-将来的に自由希求はロシア国内にも波及するだろう
 こうした状況で、若者は大義の無い戦争に駆り出される現在の社会体制を考え直す。
ロシアで人気の無いゴルバチョフだが、国民から見直され、その後を継ぐ政治家が現れてもよいのではないか。
 本来はゴルバチョフの路線で国内だけでなく、国際的に海外諸国、少なくとも東欧・中央アジア諸国を夢をもって牽引し、その流れに引き込む-米国・EUが世界に影響を与え、追随者がいるように、ゴルバチョフもまた国際的に潮流を創れる可能性があった。
 中国習近平が個人崇拝・全体主義を人類に強要しようとする中にあって、ゴルバチョフの継承・発展者は今後現れるであろうか。自由を希求する潮流は、いずれロシア国内にも起きる時が来るのではないか。

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